平成アイドル水滸伝~宮沢りえから欅坂46まで~番外編『平成アイドル水滸伝~宮沢りえから欅坂46まで~』刊行に寄せて
拙著『平成アイドル水滸伝~宮沢りえから欅坂46まで~』(双葉社)が2月19日に刊行されることとなった。
「CM」「バラエティ」「グラビア」「ライブ」「映画」「ファン」など10余りのテーマ別に平成女性アイドルの生き様を列伝的にたどり直し、その存在の意味を考察したものだ。元々はこのEXwebでの同名連載をまとめたものだが、「女性アイドルにとって平成とはどんな時代だったのか?」と題した見取り図的な概説を書き下ろすなど、かなり加筆もしている。
ここでは、私が今回の本で特になにを明らかにしたかったのか知っていただくとともに、令和に入り起こったいくつかの大きな出来事を踏まえつつ、いま刊行にあたって思うことを書いてみたい。
■“「アイドル冬の時代」と言わないアイドル史”を書く
まず連載開始時、私のなかにあったのは「アイドル冬の時代」という表現への違和感だった。私は、“「アイドル冬の時代」と言わないアイドル史”を書いてみたかった。
「アイドル冬の時代」とは、おニャン子ブームが去った昭和の終わり頃からモーニング娘。が誕生した平成前半までの約10年間が女性アイドルの空白期間だったことを指す常套句である。