伊藤健太郎
伊藤健太郎

 戸田恵梨香(31)がヒロインの喜美子を演じる連続テレビ小説スカーレット』(NHK)は、いよいよ終盤戦を迎え、面白い状況となってきた。喜美子の息子である武志を演じ、本作の中でも注目俳優の筆頭である伊藤健太郎(22)の演技が、ここのところ冴えに冴えているのだ。ここでは2月15日の放送を振り返り、伊藤健太郎の魅力に迫ってみたい。

 喜美子のもとを訪れていた陶芸ファンの元女優、小池アンリ(烏丸せつこ/65)。次第に喜美子とアンリとの間に友情が芽生えるも、アンリは突然に姿を消す。そして、武志が通う信楽窯業研究所では、武志の師である掛井(尾上寛之/34)に子どもができたとの知らせが。武志は事務員の石井真奈(松田るか/24)とともにこの朗報を喜んで……という展開だった。

 この放送回、武志と石井の出会いシーンにキュンとした。掛井に子どもができたことを笑顔で語りあうシーンで、武志が「うん、俺も良かった」と石井に笑顔を投げかけた表情がなんともよかった。素朴だった武志が、学生時代を経て大人になったことを感じさせる名演技だった。

 伊藤健太郎は不思議な俳優だ。この若さにして自分の色やキャラを、作品の世界観に落とし込めるのがスゴい。たとえば2017年のドラマ『アシガール』(NHK)の若君、忠清役。マンガ原作読者からも人気が高い若君を、伊藤健太郎は見事に具現化した。

 原作での忠清はキラキラの王子様キャラだが、伊藤が見せた忠清は落ち着いていて、キラキライケメンというよりは純朴で頼りになる男。当時のSNSには「かっこよすぎて心の臓が止まりそうだ」とその演技を絶賛する声が多数上げられ、伊藤の知名度を高めた。

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