■35歳と31歳の2トップで…

 一方で10人以上に上る新加入選手で、昨季にJ1でバリバリと主力を張っていた選手は多くない。そこで期待されるのが、昨季途中からチームを預かり、J1残留を果たした浮嶋敏監督の手腕だ。

 新チームで特に不安視されたのが、山﨑凌吾(→名古屋グランパス)らが抜けた前線のポジションだろう。浦和レッズとのリーグ開幕戦では、12年ぶりの復帰となった35歳の石原直樹(←ベガルタ仙台)と31歳のタリク(←AIKソルナ=スウェーデン)という新戦力が2トップを形成した。

三十路同士のコンビだが、リーグ開幕戦では味のあるコンビネーションを披露していた。ともに周囲のために走れる選手で、ボールを引き出し、攻撃に流れを生み出していた。先制したのは湘南で、左からのクロスに対してニアサイドでタリクがつぶれ役となった先で、石原が頭で押し込んだ。

 フォーメーションを昨季までの3-4-2-1から3-5-2へとマイナーチェンジしたが、走力や球際での力強さといったベースに変わりはない。ボールがない位置での動きなどは洗練されている印象もあり、敗れはしたものの内容では浦和を上回っていた。

 サガン鳥栖から加入した福田晃斗は中盤の中央で開幕戦に先発。J1経験のある新戦力もまだおり、これからどのような上乗せがなされるのか注目される。

 実はここまで数年の他クラブへの選手の流出には、ほとんど移籍金が発生していなかったようだ。複数年契約を結べるようになり、このオフからようやく選手の輩出が金銭的にプラスになるようになったようだが、この流れを継続できてこそ、胸を張って「育成型クラブ」と名乗ることができる。

 苦境の中で、フロントも含めてクラブは少しずつ前進している。その歩みを続けるためにも、今季は重要なシーズンとなる。

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