■『麒麟がくる』が盛り上がるのはまだ先?
この状態を受け「信長に仕えるまでは盛り上がらないだろうな」「次週が待ち遠しいとはならない」と、SNSでは厳しいコメントがあがっていた。気軽に見られるものの、毎話を通してみると奥深さが希薄なように感じられてしまうのだ。このRPGのようなノリを評価する声も少なくないが、いつまでも続くと離脱者はますます増えてしまうだろう。
次の理由は、明智十兵衛のキャラの薄さだ。本作は20歳の十兵衛からスタートしている。もともと資料が少ないうえに、その青年期を描くということはハードルが高いのだろう。斎藤道三(本木雅弘/54)や松永久秀という濃厚なイケオジに囲まれた若き日の十兵衛は存在感が希薄で、“ただのまじめな熱い青年”という、退屈なキャラにしか見えない。
それでも第6話では、駒(門脇麦/27)との胸キュンシーンなど、十兵衛の人となりが伝わる描写が見られた。このような人間味のあるシーンがもっと見たいところだ。十兵衛が明智光秀となり、かつて連続テレビ小説『まんぷく』で見せたようなハセヒロの怪演が見られるようになれば、キャラもより深いものになるだろう。
『麒麟がくる』は戦国の英雄たちの若き日を描く「ビギニング大河」というテーマを掲げている。第1話は1547年からスタートしたが、クライマックスである本能寺の変は1582年であり、まだまだ先は長い。今までの大河ドラマ以上に、長い目で見守る必要があるのかもしれない。(松平彦作)
※画像はNHK『麒麟がくる』番組公式ホームページより