セレッソ大阪
セレッソ大阪

セレッソ大阪 2020年チーム展望

<戦力評価> B
<今季の目標> ACL出場権獲得圏内
<補強分析> B
<戦術> A
<フロント力> B

 

 昨季はスペイン人監督の下、新しいチームの土台をつくった。果たして今季は、その上に大きな花を咲かせることはできるだろうか。

 新監督と臨む昨季の開幕前には、期待と不安が入り混じっていたはずだ。退任した尹晶煥監督は2017年シーズンにはチームを過去最高の3位に導き、ルヴァンカップと天皇杯ではクラブ史上初の優勝をもたらすという、確固たる実績を残していたからだ。

 J2で東京ヴェルディを久々のJ1昇格プレーオフ圏内まで引き上げたロティーナ監督への期待も高かったもののスタートダッシュとはいかず、第9節の時点で2勝2分け5敗と15位まで順位を下げた。だが、第10節の松本山雅戦での勝利から急上昇。第16節以降は2ケタ順位に落ちることなく、最後は5位でフィニッシュした。

 シーズン途中にフォーメーションの変更こそしたものの、ロティーナ監督は慌てることなく戦術の浸透を図っていった。選手に正しいポジションをとらせることで相手に自由な攻めを許さず、攻撃に移ればその位置取りが逆に相手を切り崩す道筋となる。昨季に記録した25失点は、リーグ最少だった。

 前年よりも順位を2つ上げたチームで、ほとんどの選手は残留した。ロティーナ監督の戦術を体に染み込ませた選手たちで引き続き戦えることは、それ自体がプラスとも考えられる。

 問題は、昨季にJ1の18チーム中12番目となる39ゴールにとどまった得点力の上乗せだ。

 サイドハーフながら昨季チーム最多タイの7得点を挙げた水沼宏太は、古巣の横浜F・マリノスへと移籍した。今季の開幕戦で新戦力のブルーノ・メンデス(←デポルティーボ・マルドナド=ウルグアイ)と2トップを組んだのは、水沼と並んで昨季7ゴールを奪った奥埜博亮だが、本来は中盤の選手だ。奥埜をコンバートして機能させた手腕を称えるのか、それとも苦肉の策を継続せざるを得ないとみるかは、今後の結果次第だろう。

 ただし、右サイドで開幕スタメンをつかんだ坂元達裕(←モンテディオ山形)は、少なくとも現時点では「当たり」の補強だったという予感が漂う。ルヴァンカップ第1節でも先発し、縦への突破力など存在感を示していた。右サイドに配されたレフティということで、切り返してからの左足クロスやシュートなど、選択肢も広がる。

 ベルギーで3シーズンにわたりプレーしていた豊川雄太(←KASオイペン)も加わった。得点力も経験もある選手だけに、これからいかに活かしていくか指揮官の手腕が見ものだ。

  1. 1
  2. 2