サウジアラビアから、うれしいニュースをお届けします。サンバサウジダービーC(ダート1600メートル)に挑戦したフルフラットが、世界中のホースマンも、あっと驚くような大仕事をしてくれました。英国ブックメーカーの人気は13頭立ての7番人気。それでも、当日のコンディションがとてもよく、「チャンスはある」と思っていた通り、大外枠からポンと飛び出したフルフラットは、好位追走から直線、鮮やかに抜けだし、そのまま1着でゴールに飛び込んでくれました。

 レース直前、馬の頭から顎、鼻にかけて付ける革でできた馬具、頭絡が外れるアクシデントがありましたが、すぐに下馬。暴れて走り出さないように左前脚を持ち上げたのは、昔、競馬学校で学んだことが生きました。アメリカのダートを経験したことなど、勝因はいくつもありますが、これも、その一つです。

 僕にとっては、9か国目の表彰台。日本代表として臨んだレースで、勝利を挙げられたことは、何にも代えがたい喜びです。でも、それ以上に、チームとしての目標であるケンタッキーダービー(5月2日)に一歩も二歩も近づけたことが、サウジアラビア遠征の最大の収穫でした。フルフラットは、このあと、サウジアC2着と頑張ったマテラスカイとともに、ドバイ(28日)で闘うことになりそうですが、視界は極めて良好です。

 蔓延するコロナウイルスの影響で、JRAの競馬開催が、当面の間、無観客で行われる、と聞いたのは、サウジにいるときのことでした。無人のパドック。歓声のないスタンド。シーンと静まり返ったウィナーズサークル。分かっていたけど、それでも、寂しい。あらためて、ファンの声援がどれだけ力になっていたかに気づいた……反応はさまざまですが、ジョッキーの思いは一つです。

――たくさんのお客さんの前で競馬がしたい。目には見えないウイルスとの戦いですから、仕方がありませんが、この言葉に尽きます。一日も早くその日が来るのを信じ、みんなで協力しあって、この最悪の状況を乗り切りましょう。

 テレビの前で応援してくださるファンの皆さんに、熱い競馬を届けます。

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