■横浜DeNA山崎康晃はツーシームを

 さて、落ちる変化球は、フォークだけではない。横浜DeNA・山崎康晃(27)は、ちょっと変わった落ちる球を武器にしている。「山崎のウイニングショットは“魔のツーシーム”。ツーシームと言えば、普通はシュート系の横に変化するボールですが、彼の場合は縦にストンと落ちるのが特徴です」(球団関係者)

 山崎は、このボールを投げる際、指を広げて握っている。“実はフォークでは?”と指摘する声もあるが、本人は“ツーシームです”と譲らないのだという。「山崎がこれまで163セーブを奪い、2018年から2年連続でセーブ王になれたのは間違いなく、この球種あってこそ」(前同)

 そんなツーシームの威力を野球評論家の藪恵壹氏は、こう解説する。「ストレートの軌道で迫ってきて手元で急に落ちるから、打者はキリキリ舞いしてしまう。普通の投手と落ちる角度が違うんです。本人はツーシームと言い張っていますが、あれは“フォーク”ですよ(笑)」

 現在の野球では、スライダーやカットボールといった球種が中心で、かつての変化球の代名詞カーブを投げる投手は、めっきり少なくなった。だが今なお、これを武器にする投手もいる。「長嶋さんは以前、“いいスライダーを持っている投手がカーブも投げるとなると、バッターとしては非常にやっかい”と、カーブの効果について語っていました」(ベテラン記者)

 そんなカーブの使い手として注目したいのは、広島のドラ1ルーキー・森下暢仁(22)だ。3月1日のオープン戦では、中日相手に3回1安打無失点と好投。他球団のスコアラーをクギヅケにした。「森下のカーブは縦に大きく割れる、昔で言う“ドロップ”です。キレがバツグンで、この球を見た張本勲さんは、早くも新人王候補に挙げていました」(前同)

 さらには、ソフトバンク・武田翔太(26)が投げる“急速カーブ”も覚えておきたい。「曲がってから加速してくる」(里崎氏)「急激に変化して、ボールだと思ったらストライクになる」(藪氏)

 2人の球界OBが口をそろえて称賛するだけで、その魔球ぶりが分かるだろう。

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