■大人の男は巧みに演じる長谷川博己だが
次は、まだ明智光秀がまだ20歳そこそこの若者で、長谷川博己の芝居が光秀にシンクロしていないということだ。ハセヒロといえば、2016年の映画『シン・ゴジラ』のキリッとしたイケメン指揮官、谷口蘭堂役など、大人の男の演技でファンを獲得してきた。30代や40代の役は文句なしなのだが、今回のような若者役はしっくりこないのだ。
第9話の放送では将来の妻、熙子と再会したが「そうか、あれはあなたか」と、あっさり熙子を思い出し、ドラマチックさを欠く芝居だった。もちろん脚本の問題もあるだろうが、どうにも薄っぺらい演技が気になるシーンでもあった。彼の持ち味である大人のシブさをいかすには、もう少し、光秀に成長してもらう必要があるだろう。
連続テレビ小説『まんぷく』で演じた、猪突猛進の発明家、萬平役のように狂気じみた役も得意なだけに、ハセヒロがまじめな若造でしかない今の光秀を演じるのは、正直、もったいない。もう少しはっちゃけたハセヒロの姿を見たいというファンも多いはずだ。
光秀と長谷川博己がシンクロしてくるのは、斎藤道三と義龍(伊藤英明/44)親子が激突する、長良川の戦いあたりだろうか。いずれにせよまだまだドラマはプロローグなのだと思い、ゆっくり見守ることが必要なようだ。(橋元信吉)