大河ドラマ『麒麟がくる』は間違えだらけ? 明智光秀「主君殺し」本当の理由の画像
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大河ドラマは視聴者が楽しめたら、それでいいんですが、歴史学者に言わせると、今回のタイトルからして、どうなのかなあというところがあるんですよ」

 こう語るのは、東京大学史料編纂所教授の本郷和人氏だ。同氏が疑問を投げかけるのは、放送中のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』のこと。同作は、主君・織田信長を討った謀反人として有名な明智光秀が主人公の群像劇だが、なぜタイトルからして疑問なのか? 「麒麟の“麟”は信長がサインに使っていた文字なんです。そう言った意味からすると、“麒麟”は、光秀でなく信長を指す形容詞として使われることがふさわしいんですね」(前同)

 ちなみに、本郷氏は2012年の大河ドラマ『平清盛』の時代考証も手がけた日本史研究の第一人者。2月20日には『誤解だらけの明智光秀』(マガジンハウス)を出版している。現在、『麒麟がくる』は光秀の前半生にスポットを当てているが、それについても本郷氏は首をかしげる。「光秀は信長の家臣になってからの史料は多いんですが、それ以前は謎だらけなんです。彼の出自や経歴が分かる良質な史料は、現時点では極めて少ないんですね。享年は55歳説が有力ですが、67歳説もあります」

 また、本能寺の変については、「天下人になりたかった」など、これまでに野望説をはじめ、さまざまな説が提唱されてきた。「野望説は『信長公記』がよりどころになっていますが、光秀ほど頭が切れて周到な武将が、その後のことを考えずにやったとは考えにくいんですよ」(前同)

 本郷氏は、信長のパワハラに耐えられなかったからという遺恨説や、朝廷や足利義昭、あるいは秀吉や家康にそそのかされたという黒幕説などについても、説得力に欠けると指摘する。「今回は、光秀を主人公にした大河ドラマなので、野望説や遺恨説、黒幕説より、天下取りのためには、比叡山の焼き討ちなどの非道も辞さない信長を阻止するため、という“非道阻止説”の流れになると思います。ただ、自身も焼き討ちに加わり、戦国に生きる光秀が、信長を暗殺するほど“けしからん”と思ったとは考えにくいですけどね」(同)

 では現在、可能性が最も高いと思われている説は?「当初、信長は光秀を取り次ぎ役にして土佐の戦国大名、長宗我部元親の四国平定を認めていたんです。だが、信長が土佐と阿波の半分しか領国支配を認めないと言い出し、それに元親が反発。怒った信長が四国征伐に軍団を組織して、出陣せんとしたその日、本能寺の変が起きるんです。光秀が四国征伐を理不尽に思い、阻止しようとした、との説が有力です。14年にこの説を裏づける新史料が発見されてから、本命視されています」(同)

 大河ドラマはどの説を採用するのか。注目しよう!

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