■「羽生は引退しない」と確信した “あるシーン”とは?

 その証拠が、前述のグランプリファイナルのある場面でかいま見えたという。

「結果はネイサンに敗れて2位でしたが、ショートプログラム後のフリーへ向けた公式練習では、何度もクワッドアクセルにトライする羽生の姿があったんです。公式の場で羽生が4回転半ジャンプに挑むのは、これが初めてのことでした」(前出のスポーツライター)

 正直、怪我のリスクを考えると「ここでトライする意味はあるのか?」と疑問に思った報道関係者も多かったそう。

「しかしそれは、“こんなところで終わってたまるか”“自分はまだまだいけるんだ”という羽生のアピールだったようにも見えました。負けず嫌いで、どこまでも底が見えない。こんな選手はかつて一人もいなかったので“羽生にこれまでの常識を当てはめて考えてもムダなのではないか”と関係者は皆、感じていました」(前同)

 結果、その大会でクワッドアクセルにチャレンジすることはなかったが、勝利への渇望や新しい技を習得する執念を持ち続けていることを見せつけた。

「大会直後のインタビューでも“今に見とけ、って思います”と語っていたほどです。羽生にとって、来季の復調と“打倒・ネイサン”には、このクワッドアクセルがカギを握ることは間違いないでしょう。実際、成功への道筋も見えてきているようですよ」(同)

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