■悪女は人気の起爆剤

 視聴者からは憎しみを集めて損な役回り、と思われがちな悪女だが、実は女優にとって非常に美味しいポジションだという。

「“略奪愛や執拗な嫌がらせ”を繰り返すにしても、主役を食うほどの演技は視聴者から注目されます。

 それに加えて、“悪女”は同性から見て非常に魅力的な存在です。『M』のように”執念深く、ある種悲劇的に一途な悪女”や、『ルパン三世』の峰不二子のように”男を手玉に取るカッコいい悪女”。『スカッとジャパン』で田中が演じたような、“巧みに裏表を使い分ける悪女”など、男を上回るという強いイメージが女性にとってウケるんですよ」(制作会社関係者)

 実際に、“悪女役”で評価されて頭角を現した女優は数知れない。

「最近だと、菜々緒(31)が好例ですよね。2014年の『ファースト・クラス』(フジテレビ系)で“内心が常に罵詈雑言まみれの悪女・レミ絵”が大好評で、その後も『スカッとジャパン』などで何度も悪女を演じています。最近では“態度はキツいが面倒見のいいクールな女”という役どころも増え、キャラの幅も広がっている。

 また、『ドクターX』(テレビ朝日系)を筆頭に“一匹狼のカッコいい女性”役に定評のある米倉涼子(44)も、2004年のドラマ『松本清張 黒革の手帖』(テレビ朝日系)の悪女が、大きな転換点でした。“巨額の横領をはたらいて銀座のクラブのママの地位を手にした悪女”を演じたのですが、これが大好評で、その後も松本清張ドラマに“悪女”として欠かせない存在になりました」(テレビ局関係者)

 そのほかにも、2004年の昼ドラ『牡丹と薔薇』(フジテレビ系)での“役立たずのブタ”発言や“牛革財布のステーキ”などでお茶の間に強烈な印象を与えた小沢真珠(43)など、“悪女”が人気の起爆剤となるパターンは多い。

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