木村拓哉
木村拓哉

 自粛期間が続く中、なにかとSNSで話題に上がってくる木村拓哉(47)。木村拓哉というよりも、Cocomi(19)、Koki,(17)、 工藤静香(50)と、家族一丸となって仲良しネタをアップしてくるので、なかなか圧が強い。

 それを見るのももちろん興味深いが、やはりキムタクといえば俳優。2016年の末、SMAPが解散した騒動の余韻で、一時期逆風も吹いたが、今ではひとつ山を乗り越えた余裕と安定感を見せている。特に強く「キムタク健在」を感じたのは、主演映画『マスカレード・ホテル』の大ヒットではないだろうか(興行収入46億4000万円!)。現在、Amazonプライムビデオでは、『マスカレード・ホテル』と『検察側の罪人』が無料配信中。王道のカッコいいキムタク、陰のあるキムタク、両方を堪能できる見事なラインナップである。

『検察側の罪人』は、少々凝りすぎた演出や難解なストーリーはともかく、キムタクの鬱屈ぶりが見事で、それを見るだけで2時間半、浸れる。彼の教え子で、対立する役の二宮和也は、持ち前のニュートラルさで現代っ子を見事に演じていた。二宮のとがった個性は、過去の事件への復讐心のため、どんどん脱線していくボロボロのキムタクとの対比があってこそ、より輝いて見えた気がする。

『マスカレードホテル』は王道のカッコ良さを放ちつつ、年齢相応のオーラで、大勢出演するスターたちの軸にしっかりとなっていることが分かる秀作。関西のトークバラエティ『怪傑えみちゃんねる』(関西テレビ系)の最近の放送回で、上沼恵美子が「『マスカレード・ホテル』を見た。やっぱり私、キムタクが好きだわ」と話しており、なるほど、と思った。

 正直、私は96年の『ロングバケーション』(フジテレビ系)を代表とする、平成のキムタクの大ヒットドラマにほぼ興味が湧かなかった。どこを切ってもカッコ良い演技が、照れくさくて苦手だったのだ。このまま私のドラマ視聴人生は、“キムタクスルー”で進んでいくのだろうぐらい思っていた。

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