大野智(嵐)
大野智(嵐)

 新型コロナウイルスの影響で、今クールのドラマが、軒並みストップする状態が続いている。フジテレビの月9ドラマ『SUITS/スーツ2』も、第3話以降の放送が延期。代わりに5月11日に放送されたのが、2012年に大ヒットした大野智(39)主演のドラマ『鍵のかかった部屋 特別編』だ。

 大野演じる奇才の防犯オタク・榎本径が、弁護士の青砥純子(戸田恵梨香/31)と芹沢豪(佐藤浩市/59)と密室の謎を解くサスペンス。今回の再放送は、世帯の平均視聴率が10.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)、個人でも視聴率6.5%と上々であった。

 大野智の役者としての面白さは、「ふてくされる」その表情にあると思っている。

 10年に放送された藤子不二夫Aマンガの実写化『怪物くん』(日本テレビ系)は、まさにそのふてくされ感が怪物ランドというファンタジーの世界に妙なリアル感を生んだし、09年の『歌のおにいさん』(テレビ朝日系)も「やらされ感」がほほ笑ましさを増した。

 大野が持つ、自分をカッコよく見せようとしない脱力の妙。これにより大野のドラマは、共演者も光る。大野自身が意識しているかどうかは定かではないが、「キャストを立たせる余白」を作るのである。この『鍵のかかった部屋』もそうで、彼の横で戸田恵梨香が演じる青砥、佐藤浩市演じる芹沢が立ち回り、「人間味」が増していく様がキラキラと輝いて見えていく。

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