■第5位:初主演時に何度も見せた『別れを悲しむ涙』

 2007年の『仮面ライダー電王』(テレビ朝日系)で、佐藤は連ドラ初主演を務めた。キャリアの浅い当時17歳だったが、その涙は美しかった。

「佐藤の涙を語るうえで、初主演作の『電王』を外すわけにはいきません。電王は、明るいギャグやBGMで雰囲気をごまかしていますが、実際は大人も唸らせるかなりシリアスな作品。佐藤は、この作品で何度も視聴者の涙を誘いました。

 主人公の良太郎(佐藤)は、劇中で何度も“禁じ手を使ったせいで仲間が消滅”“敵を倒すと未来が変わり、仲間も消える””変身するたびに存在が消えてしまう2号ライダー”などなど、ショッキングな決断を迫られる場面が非常に多い。特に“仲間との別れ”は中盤27話と終盤のメインテーマとして何度も描写され、“急な別れへの泣き顔”と、“再会できた時の泣き顔”の両方を、2度楽しめる作品です。放送当時から、“朝からもらい泣きしちゃった”というファンは多かったですね。ちなみに、YouTube企画で共演した桜田は、電王の映画で“未来から来た良太郎の孫・幸太郎”で出演しています」(専門誌記者=以下同)

■第4位:“降りてきた”以蔵の涙

 2010年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』で、“人斬り以蔵”こと岡田以蔵を演じた佐藤。この作品の佐藤に“イケメンオーラ”はない。心優しく裏表のない、人懐っこい笑みがかわいらしい青年だったが、武市半平太を盲信し“人斬り”になる。その後、藩や新選組に拷問を受け、どこまでも薄汚れて、処刑前には顔もボロボロに。そんな彼の最期が放送された27、28話に、多くの視聴者は涙したという。

「“別の人に出会えていれば”と思わずにいられない、悲劇的なキャラでした。片目が腫れ上がり、顔は土埃とヒゲで汚れた状態で首を突き出すシーンで、以蔵は微笑みながら一筋の涙を流すーー。2012年の『SWITCH』(スイッチ・パブリッシング)のインタビューで佐藤本人が明かしていましたが、“あそこで泣くつもりじゃなかった。無だった。以蔵が降りてきたのかもしれない……”と、当時を振り返っています。恩師の武市に毒殺されかけたことに気づき、顔をくしゃくしゃにして悲しむ場面もある。この“泣き顔”で、佐藤は俳優として一躍知名度を上げた感がありますね」

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