■評価が割れやすい福田映画

 福田監督は2011年に山田が主演した、低予算の冒険活劇ドラマ『勇者ヨシヒコと魔王の城』(テレビ東京)を大ヒットさせ、一躍、人気監督の仲間入りを果たした。

「アドリブまみれの掛け合い」「ミュージカル風の演出」「ヒロインやイケメン俳優も容赦ない変顔」などの突き抜けたコメディ演出が好評で、今回の『三國志』にも注目が集まっていた。ムロや佐藤など、気に入った役者は何度も起用することでも知られ、特に佐藤二朗は、どの作品でもやりたい放題に演じていて、何をやらせても”ただの佐藤二朗”と化していることで有名だ。

「実力は確かですが、かなり個性が強い作風で、作品によってはギャグがダダスベリすることも珍しくないんですよね。特に原作モノだと、原作を無視して好き放題に演じる“ただの佐藤二朗”を許容できるかでかなり評価が変わります。あと、やはりシュールなギャグが世界観に合うかどうかですね」

 専門誌記者に、福田作品の“オリジナル作品”“原作付き作品”の失敗例、成功例を挙げてもらった。まずは、“オリジナル”から。

「14年の『女子ーズ』はよかったと思います。“ヒーローのお約束”をネタにした、桐谷美玲(30)主演の映画で、藤井美菜(31)、高畑充希(28)、有村架純(27)、山本美月(28)と、超トップクラスの人気女優が集結した、奇跡のような作品。しっかりした敵怪人に比べ、チープで安っぽい女子ーズの衣装も、独特のユルい雰囲気にマッチしていていました。中盤から終盤にかけての“任務と私生活の板挟み”という展開も共感を呼べる内容で、ギャグとシリアスのバランスがよかった。オチも古典的ですが、いい意味で“お約束”という感じでした」

 逆に、指原莉乃(27)が主演した14年の映画『薔薇色のブー子』は、イマイチ。

「“周囲に文句言ってばかりのブー子(指原)が恋をし、騒動に巻き込まれながらも少しずつ成長していく”というストレートな映画です。大前提ですが、コメディ映画は役者の演技がうまくないとスベる。指原は身体を張って頑張っていたとは思いますが、当時はまだ演技がヘタだったため、ギャグシーンのキレもイマイチでした。“指原のPV”という声も当時ありましたね」

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