■所得税や住民税を

 続いて、払いたくない金といえば税金関係。所得税といった国税や住民税、固定資産税など地方税の支払いは、確定申告で納税する自営業者やフリーランスにとっては深刻な問題である。そんなときに活用したいのが、国税や地方税の納付期限を無担保で延ばせる“特例猶予”。「これまで1日でも期限を過ぎるとかかっていた延滞税がかからず、最長1年、支払いを先延ばしできます。延滞税は、期限後2か月以内は2.6%、以降は8.9%で、1日単位で計算されるので、手続きせず1年滞納すると、高額になることもあります。現在滞納中の人も、申請が認められれば、今年2月以降に発生した延滞税はチャラ。すでに延滞税を支払った人には還付金があります」(経済誌記者)

 保有資産などの条件もないので、ぜひ申請したい。「特例猶予の要件は、今年2月以降の期間で、事業等の収入が前年同期に比べて20%以上減少していること。国税庁の資料には収入について“譲渡所得などの一時的な収入は含まれません”と明記されています。要は、株など投資での収入や不動産、たとえば土地を売ったなどの収入は、含まなくていいんです」(長尾氏)

 また、収入が減った期間は連続している必要はない。「3月、5月、7月と飛び飛びでもいいし、2月20日〜3月19日など、月途中からの1か月で計算してもOK。減少率の大きい期間を記載します」(経済誌記者)

 続いては、社会保険料の減免、猶予を確認したい。特例制度は右の表のとおりだが、長尾氏は「国民年金に関しては減免や猶予の措置がある」と言う。「収入が減少して、支払いが困難になった場合には、所得によって免除額が変わってきます。“全額免除”“4分の3免除”“半額免除”“4分の1免除”の4種類です。免除を受けた期間も受給資格期間の対象期間に算入されるので、滞納するのではなく、手続きを必ず取るようにしてください。また後日、収入が回復して条件を満たせば追納することができます」

 同様に、75歳以上が納める「後期高齢者医療制度」「介護保険」の各保険料についても、減免・猶予の可能性がある。住んでいる市(区)役所・町村役場の後期高齢者医療担当課へ相談したい。ただし、減免、猶予の注意点もある。「光嶋法務・経営コンサルティング事務所」(東京都豊島区)の光嶋卓也氏(社会保険労務士・行政書士)はこう語る。「国民健康保険の猶予は一種の貸付です。特例で、延滞金も一部免除されますが、将来的には納付が必要です。また国民年金の免除や猶予は、10年以内に追納しないと、年金受取りの際、全額免除期間は半額、猶予期間は、0円となるなど、将来の受取額が減ってしまう点には注意が必要です」

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4