東京競馬場を舞台に5週連続で行われるG1競走も、今週が折り返し地点。GW明けとはいえ毎年、この時期は新幹線の切符を取るのに苦労しますが、今年はガラガラ。改めて新型コロナウイルスの影響を感じています。

 そんな中、「週末の競馬だけが楽しみです」と、マスク越しに声をかけてくださるファンのためにも、最高の競馬で、史上最多となる4度目のVを狙ったNHKマイルCは、僕にとっても、3戦無敗だったパートナー、サトノインプレッサにとっても、不完全燃焼のまま終わってしまいました。

 当日、東京競馬場の天気は晴れ。馬場コンディションは芝・良。3歳のマイル王を決める戦いとしては、最高の舞台と言いたいところですが、ダートコースの砂が向かい風に乗り、まともにぶつかってくるという条件が、内枠、前めで競馬していたライバルたちに有利に働き、8枠17番からスタートしたサトノインプレッサにとっては、ツラい競馬になってしまいました。勝ったときに、拍手も、歓声もない無観客競馬に寂しさを感じますが、負けたときはそのツラさがさらに倍加して肩にのしかかってくる感じがします。

――勝ってこその競馬改めて、その言葉を胸に刻み、今週末に行われる牝馬三冠レースの第2弾、オークスで倍返しを狙います。

 僕がこのレースで初めて勝ったのは、デビュー7年目の1993年。パートナーは桜花賞馬のベガです。もともと、1600メートルの桜花賞よりオークス向きの馬だと感じていたので、“普通に乗れば負けない”という自信がありました。実際、普通に乗って、当たり前に勝った……という印象が残っています。

 2度目は、ベガでの初戴冠から2年後のダンスパートナー。3度目は、その翌年で、パートナーは名馬エアグルーヴでした。オークスに限らず、どんなレースでも、勝てばうれしいし、負ければ悔しい。2度取ったら3度。3度勝ったら、次は4度……と、欲深く挑戦し続けるのがジョッキーとしての性のようなものです。ところが、オークスに限って言えば、この2頭で連覇できたのが最後の勝利で……23年間、一度も勝利の美酒を味わっていません。

 もうそろそろ、僕が勝ってもいい頃じゃないかと思っているんですが(笑)。こんな僕の今年のパートナーは、ディープインパクトの馬主でもある金子真人オーナーのミヤマザクラ。今回が初めてのコンビ結成ですが、レースぶりは、ずっとチェックしていました。前走、桜花賞は重馬場に苦労しながらの5着。良馬場なら間違いなく勝ち負けになるし、距離延長もプラスです。新型コロナウイルスの影響で漂う重苦しいムードを吹き飛ばすような走りで、「競馬は、やっぱり武豊だ!」と言っていただけるように頑張ります。

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