■予想を超える男
コロナ禍の中、連絡をとりあった。実は格闘技同様、落語界も大打撃を受けている。さぞかし心配してくれているのか、こちらも野良犬道場が心配になっていた時だったので「どう?大丈夫?」と聞くと。
道場が入っているビルがコロナとは関係なく老朽化に伴い立て直しだという。そしてビルのオーナーさんから立ち退き料金もしっかりもらえてニコニコしていた。
さすが、予想を超えてくる男。落語の登場人物化している。
「まぁ、よ、よかったねぇ」と伝えると「それはそうとコロナ明けたらすぐお稽古お願いいたします」。落語熱はさめてないようだ。
「道場はどうするの?」
「三ノ輪のどっかでやりますんで」。さすらいの道場。道場も野良犬だった。
こういう人間を生んだ格闘技に敬意を表し「がんばれ格闘技!」だ。
(文=林家彦いち)
小林 聡(こばやし さとし)
1972年3月16日、長野県長野市出身。91年、全日本キックボクシング連盟・後楽園ホール大会で公式プロデビュー。以降、2007年まで様々な団体を渡り歩きながら、国内外の多くのベルトを腰に巻く。通算戦績は69戦46勝(34KO)21敗2分。引退後は、後進の指導や格闘技イベントを立ち上げる一方で、映画に出演するなど、活動の幅を広げている。
Twitterアカウント:@norainudojo
林家彦いち(はやしや ひこいち)
1969年7月3日生まれ。鹿児島県出身。落語家。大学を中退し、林家木久扇(初代木久蔵)門下へ入門。前座名を“きく兵衛”とし、初高座は90年で演目は「寿限無」。93年に二ツ目に昇進し、現在の“彦いち”へ改名。2002年に真打昇進。現在までに数々の賞を受賞し、新作の落語も数多く手がける。SWA(創作話芸アソシエーション)のメンバーとして、落語以外の活動も盛んにおこなっている。弟子と製作した「前座マスク」が話題に。
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