■「ねーちゃんで揉めたことは1回もない」
考えたらね、疲れるよ。生き方でもね、あんまり考えなくていいような気がする。考え続けるとね、ろくなこと考えなくなるからね。恨み、やっかみとか、「ちくしょーめ!」とかって、人を殺そうっていうかね、極端になると、そこまでいっちゃう。
人間ってね、脳がすごく弱いんだよね。あんまり脳に頼らないほうがね、僕はいいと思う。
ねーちゃんで揉めたことは1回もない。だいたい、別れたことがないんじゃない? 最近でも、20年ぶりに電話きたねーちゃんがいてね。
「ワ・タ・シ・だよ」「……どこのワタシ?」「……やっぱり覚えてないんだね」って(笑)。いつの間にかね、いなくなっちゃうんだよね。俺が追いかけてこないのよく知ってるの。
私なんか、年金いただいてるんだよ。「おじいちゃん、タダです」っていわれて。年金ジョージだ(笑)。
いつまでも、「俺はまだ若い人には負けねー」なんていってるのは、バカだよ。走ってみりゃわかる。あとくっついて歩くのが精一杯だよ。
負けるのが嫌ならね、勝とうと思わなきゃいいんだよ。落ちるのがいやならね、飛ばなきゃいいんだよ。
「それじゃ、チャンピオンになれないじゃないか」っていわれたら、「ならなくていいよ、どうせ死んじゃうんだから、おめぇは」っていえばいい。棄てきれるかどうかだよね。
ジョージあきやま 1943年栃木県生まれ。16歳のころから、貸本マンガに作品を発表。上京して森田拳次に師事。66年に『ガイコツくん』(別冊少年マガジン)でデビュー。『アシュラ』(週刊少年マガジン/70年)『銭ゲバ』(週刊少年サンデー/70年)など、多数の作品を発表し、社会的にも大きな話題を呼ぶ。73年から続く長期連載『浮浪雲』(ビッグコミックオリジナル)は、小沢一郎も愛読。その他、『デロリンマン』『ピンクのカーテン』『恋子の毎日』など、膨大な数の作品を残した。2020年5月13日逝去。享年77。