■独自の地位を確立した仲里依紗

 仲里依紗が朝ドラの演技派枠を獲得できたのには、彼女ならではの個性がある。まずは実生活が、うまく役柄にリンクしているということ。仲は13年、俳優の中尾明慶(31)と結婚し、その年に第一子を産んでいる。それから早7年、中尾との結婚生活、育児を経て、「リアル」な奥さまを自然に演じられる女優に成長したのだ。中尾がバラエティに出演し鬼嫁呼ばわりしたこともあり、男を尻に敷くイメージもすっかり定着。すっかり増した色気と、等身大の奥さま感を同時に持つ仲里依紗は、あらゆる奥さま役に対応できる個性を持ちえたのだ。

 次は親近感が湧く、人間味を見せられるということ。仲は、女性からの好感度もバツグンだ。20年4月に始めたYouTubeチャンネル「仲里依紗です。」が登録者数45万人超えと大人気。ヨガ動画などのコンテンツに混じり、着飾らないふだんの姿もアップしているが、これが世の女性から絶賛されているのだ。ツイッターでも「まじで普通の人すぎて親近感湧きすぎ」と大評判。コミカルな役も上手でもともと女性人気が高かった仲だが、普通の主婦と変わらない姿をさらけ出すことで、奥さま役にリアリティを与えているのだ。その奥さまキャラは、なるほど朝ドラでもどハマりしている。

 次々に若手が出てくるうえ、ベテランもしっかりそろっている女優業界で、30歳という年齢で自分の地位を確立した仲里依紗のあり方は見事と言えよう。吉高由里子(31)や新垣結衣(32)のような、主役級のアラサー独身女優ももちろん人気だが、仲里依紗のように人間味を感じさせる女優こそ、長生きできるというもの。喫茶バンブーは今後も重要な舞台になりそうで、ドラマ後半も仲の活躍の場は多いだろう。今後の仲里依紗、そしてバンブー夫妻に、注目したい。(朝ドラ批評家・半澤則吉)

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