■日本のドラマにはない“強引さ”が魅力!

 田中さんは、『梨泰院クラス』と日本のドラマの違いをこう分析する。

「『梨泰院クラス』には、日本のドラマの良さでもある“なんでもない日常を丁寧に描きつつ、後半にかけて伏線を回収していく”といった巧みさとはまた違ったダイナミックさを感じました。このドラマの最大の魅力は、“主要キャストのキャラクターを使って、話を半ば強引に動かしていくダイナミックさ”だと思います。

 登場人物たちの出会いや再会、どんでん返しが繰り広げられる場面など、物語が大きく動き出すシーンには、正直、強引な展開も多い(笑)。“いやいや、こんな偶然あるかい!”と、見ながらツッコミたくなるくらいご都合主義なんです。でも、それが『梨泰院クラス』をドラマチックに盛り上げている一因になっている気がします。

 昔のトレンディドラマにはよくあったので、その辺は懐かしいのですが、『梨泰院クラス』にはそれにプラスしてSNSやデジタル感が入り混じっていて、問答無用の迫力があります」(田中さん)

 たしかに、出所したセロイが梨泰院の街であまりに唐突にスアと再会するのも、ビラを配っているセロイに向かってイソがバイクから飛んでくるのも、店の常連おばあちゃんがトニーの祖母で不動産業の大物だったのも……現実ではそうそうあり得ない偶然だろう。

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