■「対価の支払いは基本的にない」

 続けて、

「飼い主にとってペットは家族の一員か、それに準じる仲間ですが、法律上は“物(動産)”として扱われます。動産とは、土地や建物などの不動産以外の物で、たとえば、冷蔵庫やピアノなどをいいます。また、夫か妻が婚前から飼っていたペットは、当該配偶者の特別財産となり、財産分与の対象とはなりません。ただ、相手方の配偶者からの同意があれば、ペットの所有権の譲渡を受けることは可能です」

 財産分与の対象となり、どちらか片方が引き取った場合、引き取らなかった方は何かしらの対価を受け取れるのだろうか

「多くの場合、ペットを引き取らなかった方が、特に対価を受け取ることはないです。通常、財産分与において夫婦の共有資産は、分与割合(原則2分の1)に応じて分与されます。仮にペットに財産的価値があれば、原則として、その財産的価値の2分の1を引き取った配偶者は相手方に支払うことになります。しかし、ペットは飼い主にとって非常に大切ではありますが、物としての財産的価値、すなわち市場での交換価値はほとんど認められない。そこで、対価の支払いは基本的にないんです。

 もっとも、離婚時にペットの引き取りに関して、夫婦間で揉める場合、引き取る配偶者が相手方の精神面などにも配慮して、一定のまとまった財産を渡すことの検討が望まれます。ペットを引き取れなかった配偶者の精神的苦痛に見合う支払いや、財産の分与などで、協議がまとまる場合もあります」

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