■佐藤健と渡邊圭祐は当時からすご腕だったが…

「そこそこキャリアのあった大幡と違い、渡邊はクランクインの3日前までは仙台の古着店で働いていたまさに掘り出し物です。序盤から演技力も高く、中盤には変身ベルトを与えられ、“並行世界の自分”というややこしい1人2役も演じ切り、最終的には『仮面ライダーウォズ』として大活躍しました。番組冒頭の視聴者への語りも担当していて、デビュー作とは思えない堂々とした演技をしていましたね。

 また、同じ事務所の佐藤健が出演していた『電王』はさらにすごい。“主人公に怪人が憑依する”という設定で、声は声優が吹き替えていますが当時キャリアの浅い佐藤に、1人5役を演じさせたうえ、声優とデュエットで全員分のキャラに合わせたキャラソンまで出していた。演歌風やヒップホップ風など、さまざまなアレンジの歌を佐藤は見事に歌い上げていました」

 佐藤の才能を見出した1人である、東映の武部直美プロデューサーは、当時、佐藤が楽しそうにオーディションを受け、見事にスタッフの解釈通りの演技をしていたことを振りかえり、

「200人くらいに会ってお芝居を見せてもらったけれど、健くんが唯一でした」

 と、18年の『livedoorNEWS』のインタビュー企画『平成仮面ライダーを振り返る』で明かしていた。

 佐藤は18年12月に、仮面ライダーの映画『平成ジェネレーションズFOREVER』にサプライズ出演した際は、「ほぼゼロからすべてを教えていただいた僕の原点」とコメントしていて、大スターとなった現在も『電王』を大切に思っていることが分かる。

「しかし、全員が最初から演技派なわけではない。たとえば竹内は『ドライブ』初期は表情に締まりもなく、セリフも棒読みだった。当時は“主役にしてはフツメン過ぎない?”と言われたほどです。もちろん、その後演技力はみるみるうちに成長し、顔つきも“国民の彼氏”と評されるほどに成長しました。

『ドライブ』の竹内は刑事役で、1年間スーツを着続けていたため、ほかのドラマでもスーツが着こなせる男になったのも、キャリアに大きな影響を与えたでしょうね。竹内は“仮面ライダー(俳優)になる”が役者として1つの夢だったことをたびたびバラエティ番組などで明かしています」

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