■著名人で作る「自助グループ」

 回復のためとはいえ、自分の過去を見つめ直す作業は、つらいものだった。だが、胸の奥底に眠る秘めた感情に気づくことで、高知氏は「心の防弾チョッキ」を少しずつ脱ぐことができたという。その一助となっているのが、依存症を持った著名人で作る「自助グループ」の存在だ。

「元プロ野球選手の清原和博さんや元NHKアナウンサーの塚本健一さん、元NHKの“うたのおにいさん”の杉田あきひろさんらと、月に1〜2回のミーティングを続けています。 “秘密厳守”“言いっぱなし、聞きっぱなし”というルールで、自分の気持ちをお互いに話し、聞き合います。このグループが僕の大きな支えと居場所になっている。彼らが与えてくれた気づきの中で、55歳になって、やっと、母なりに懸命に僕を愛してくれていたんだと思えるようになりました」

 今、依存症の正しい知識を知ってもらうため、自身の経験を踏まえた講演活動や、SNSでの情報発信を積極的に行っている。

「僕自身、『ギャンブル依存症問題を考える会』代表の田中紀子さんと出会い、依存症が病気だと知り、回復への一歩を踏み出せました。依存症は家族や友人が頑張って、どうにかなるものではありません。むしろ、事態を悪化させてしまう危険すらあるので、正しい知識を持つ人とつながる必要があります。依存症は、助けた人が助けられるんです。実際、僕はツイッターで、いろいろ発言していますが、同じ悩みを持った人たちが苦しみを分かち合う、ネット上の自助グループのようになってきている。自分のことを話すことで、僕自身も救われているんです」

 今日という一日を積み重ねながら、高知氏は回復の道を歩み続けている。

高知東生(たかち・のぼる)1964年、高知県生まれ。NHK大河ドラマ『元禄繚乱』や『課長島耕作』(日本テレビ系)など、俳優として多くの映画やドラマで活躍。2016年6月24日、逮捕。現在、薬物依存の専門病院や「ギャンブル依存症問題を考える会」に関わりながら、講演活動やSNSを通じ、依存症問題の啓発に取り組んでいる。また、俳優としての活動も再開させ、ギャンブル依存症を扱ったツイッター配信ドラマ『ミセス・ロスト~インタベンショニスト・アヤコ』に出演。

あわせて読む:
・伊勢谷友介「大麻逮捕」業界関係者が誰も驚かなかった裏側
・藤原竜也は「追い詰める側」!俳優ドラマ回帰で待たれる佐藤健の「次」
・竹内結子さんと三浦春馬さん「自死・クスリ・不倫」“呪いドラマ”と『コンフィ』終了!
・てんちむvsかねこあや“罵倒合戦“は法廷まで!?「嘘つきYouTuber」騒動

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4