なぜ彼女たちは「センター」に立ったのか⁉
アイドルセンター論
日向坂46 小坂菜緒(後編)
前回(/articles/-/82592)は、小坂が歩んできた軌跡を振り返ってきたが、今回はいかにもアイドルらしさにあふれた佇まいから放たれる稀有な表現力について考えてみたい。
小坂といえばポーカーフェイスな側面があるが、いざステージに立つと楽曲の世界観に溶け込むように様々な表情を見せている。この表現力は日向坂46というグループの中でも一際抜きん出ているように思う。
例えば、日向坂46のハッピーオーラが詰め込まれた明るくポップな『キュン』や『ドレミソラシド』では、自己肯定感が低く感情を表に出すことができないと語っていた女の子とは思えないほど、アイドル全開の笑顔とキャッチーなダンスで魅せていた。
一方で、切ない恋心を哀愁たっぷりに歌った『こんなに好きになっちゃっていいの?』では、憂いを帯びた表情や切なさを表現したダンスで感情豊かに表現していた。ハッピーオーラ全開の楽曲も切なくクールな楽曲も自由自在に表情を使い分け、楽曲の世界観を余すことなく表現できるのが小坂の魅力だ。
そんな小坂は目標としている人物に佐々木美玲を挙げている。佐々木は日向坂46屈指の表現力の持ち主といわれるほどで、過去にはけやき坂46時代も含め多くの場所でセンターに立つハッピーオーラの体現者だ。