アイドルグループ「最年長メンバー」列伝
「長女タイプがたまらなく好き」「お姉さんキャラに何故かハマる」「推しはグループの年長者ばかり」……これは、そんな指向性をもつアイドルファンのための連載である。毎回1名ずつ、過去半世紀の女性アイドルグループごとに在籍した“最年長メンバー”たちの華麗なる軌跡を綴っていきたい。
第1回 キャンディーズ:伊藤蘭 Ran Ito
■乃木坂46、AKB48、ハロプロ……すべてのアイドルグループの長女格
2020年に“伝説のアイドル”というワードをググると、玉石混交状態で、無数の人名、グループ名が検索される。居酒屋で目にする「伝説の裏メニュー」「伝説のまかない飯」の文字と同レベルで、伝説が安売りされているのである。
1973年にデビューした「キャンディーズ」は、そうした投げ売りされる伝説とは異なり、ガラスケースに入れて、横に警備員を立たせて売るべき正真正銘の“伝説のアイドル”である。楽曲や衣装の傾向、公式ニックネームやメンバーカラーの設定、さらにファンの盛り上がり方など、あらゆる面において、彼女たちこそ、その後の様々なアイドルグループのオリジンなのだ。
メンバーは、伊藤蘭(ラン)、田中好子(スー)、藤村美樹(ミキ)の3名。1955年1月13日生まれの伊藤が最年長で、藤村がその1学年下、田中がさらに1年下だった。キャンディーズが、のちのアイドルグループ文化の源流である以上、伊藤こそ、すべてのアイドルグループの長女格だと位置づけることもできる。