アイドルグループ「最年長メンバー」列伝
「長女タイプがたまらなく好き」「お姉さんキャラに何故かハマる」「推しはグループの年長者ばかり」……これは、そんな指向性をもつアイドルファンのための連載である。毎回1名ずつ、過去半世紀の女性アイドルグループごとに在籍した“最年長メンバー”たちの華麗なる軌跡を綴っていきたい。
■1998年生まれの齋藤飛鳥と8学年離れた一期生
グループのまとめ役、他メンバーのお姉さん的な役割を期待されての選抜なのだろうか。アイドルグループ運営側が、結成当初からメンバーのなかに20歳前後の年長者を置くというのは、80年代のおニャン子クラブの時代からある傾向だ。
2011年に結成された乃木坂46の一期生は36名だった。ここに歴代メンバーのなかで唯一の1990年生まれ、つまり、2020年に30歳になる人物がいた。岩瀬佑美子……生駒里奈より5学年上、最年少の齋藤飛鳥とは8学年上の彼女は当時、すでに21歳だった。
2020年11月現在、梅澤美波、山下美月など21歳の乃木坂メンバーはまったく珍しくない。しかし、9年前の時点では断然、グループ最年長であり、「ゆみ姉」というニックネームは必然的なものだった。むしろ、その年齢は焦りやコンプレックスにつながるものだったかもしれない。
「AKB48の公式ライバル」という名目で華々しく結成された乃木坂の一期生には、モデル経験者、グラビアアドル、他のアイドルグループ出身者など、最初からある程度完成されていたメンバーがゴロゴロいた。そのなかで、派手に目立つ存在ではなかった岩瀬は、2012年2月22日にリリースされたグループのデビューシングル『ぐるぐるカーテン』では選抜メンバーに選ばれていない。