なぜ彼女たちは「センター」に立ったのか⁉
アイドルセンター論
ＡＫＢ４８ 渡辺麻友（後編）
誰よりもアイドルらしく振る舞い続け、１１年間のアイドル人生を真っ直ぐに生きてきた渡辺麻友。だが、正統派であるがゆえに、ＡＫＢ４８ではある種の特殊性を帯びていたことは指摘しておかねばならない。
ＡＫＢ４８というグループでは、高橋みなみや前田敦子、大島優子、指原莉乃といった”王道アイドル”とは違うベクトルで人気を獲得していたメンバーが支持されることからも分かるように、正統派アイドルがセンターに立つ機会は圧倒的に少なかった。渡辺のアイドルとしての非の打ち所のなさ、徹底されたアイドル像は、「会いに行けるアイドル」をコンセプトに掲げているＡＫＢ４８ではある種の近寄りがたさを与えてしまう要因にもなりかねない可能性を秘めていたのだ。
しかし、正統派がＡＫＢ４８では特殊性を持ってしまうという矛盾を抱えながらも、類まれなる努力と覚悟によって、正統派アイドルをＡＫＢ４８のスタンダートにしてしまったのが渡辺麻友の凄さだろう。正統派アイドルを確立させた功績は十分に評価されてしかるべきである。
そもそも渡辺はＡＫＢ４８の中でも桁違いのプロ意識の高さで知られている。同じ３期生の同期であり、まゆゆきりんとして仲が良い柏木由紀やＳＫＥ４８の松井珠理奈といったメンバーも、渡辺のプロとしてのあり方を称賛。両者ともプロ意識の高いアイドルではあるが、それでも渡辺のそれは周囲が目をみはるほど徹底ぶりだそうだ。
