ゴール前、激しい叩き合いとなった天皇賞(秋)を制したのは、史上初となるG1・8勝を成し遂げたアーモンドアイ。無敗で牝馬三冠を制したデアリングタクト、ディープインパクトとの親子で無敗の牡馬三冠を記録したコントレイルに続き、3週連続で、すごい記録が誕生しました。手綱を取ったC・ルメール騎手は、この勝利で(春)と(秋)を合わせて天皇賞5連覇。一人の騎手としてはちょっと悔しいけど、ホースマンとしては、「おめでとう!」のひと言ですね。

 僕が騎乗したキセキは、心配したスタートはまずまずで、道中も折り合いがつき、4コーナーでは一瞬、「いけるか!?」と、奇跡の予感が背筋を走るほどの手応えがありました。でも、良馬場の瞬発力勝負は、この馬にはやっぱり厳しくて、掲示板(5着)を確保するのが精いっぱいでした。

 この日は、3歳以上1勝クラスのロードリッチと、秋 嶺Sに出走したフィールドセンスの2勝。前日の土曜・京都でも2勝を挙げ、計4勝となり、今年のJRAの通算勝利数は94に。ノルマにしている年間100勝が見えてきました。

 ちょっぴりセンチメンタルな気分になっているのは……この開催を最後に、京都競馬場が2025年の開設100周年に向けた大幅な改修工事で、長いお休みに入るからです。京都は僕が生まれた地。スタンドの最上部に上がると、栗東トレセンができる以前にあった、旧厩舎の跡地を見下ろすことができます。その景色が見られなくなると思うと、どこか、寂しさが込み上げてきます。全レース終了後、足を運んでくださったファンの方に馬場を解放。皆さん、それぞれ、思い出のレースを頭に思い浮かべながら、馬場を踏み締めたんだろうなと思うと、ジーンとしてしまいますね。

 レースの再開予定は、23年4月。スタンドは地上34メートルの6階建てに建て替えられ、パドックは楕円形に。馬の負担軽減のためにコースを掘り起こして土を入れ替え、熱中症対策として、シャワー場も設けられます。さらに、メモリアルロードを作り、これまであまり目立たない通路に設置されていた三冠馬の像、デアリングタクトやコントレイルを含む全14頭をズラリと並べるということですから、ファンの方には、これまで以上に楽しんでいただける競馬場に生まれ変わります。

 それまでは現役かって? もちろん、です。それまでも、それからも、僕は現役です。

 最後に今回の騎乗についてです。日曜は、エスポワールとのコンビで、阪神競馬場を舞台に行われる最強牝馬の決定戦、G1エリザベス女王杯に参戦する予定です。

――すべてのレースを全力騎乗で。記録ラッシュの2020年に“ジョッキー”武豊の爪痕を残します。

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