
両リーグを独走優勝した2チームが激突した日本シリーズ。今年も巨人の惨敗に終わった。
「シリーズを通じて巨人は歴代最少の4得点しか挙げられなかった。おまけに三振数の41個は歴代最多。球史に残る不名誉な記録を更新してしまいましたね」(スポーツ紙デスク)
一方、“球界の盟主”こと巨人に2年連続で4連勝、シリーズ4連覇と、ソフトバンク(以下、SB)は名実ともに“無敵軍団”になったと言えるだろう。そんなSB球団の総監督とも言うべき王貞治会長(80)の意外な肉声を本誌は入手した。11月25日、ソフトバンクの3連勝で迎えた第4戦の直前、王氏は旧知の関係者に、こう漏らしたという。
「ここまでは、地力の差が出ている感じだと思う。ジャイアンツとSBの一番の差は“パワー”だね。これは、セ・パ両リーグの根本的な差だと言えるんじゃないか。その意味では、ジャイアンツの1、2番は少し線が細いかもね」
実際、第1〜3戦目に巨人の1番を務めていた吉川尚輝は10打席で1安打、2番の松原聖弥は10打席無安打と、SBの投手陣に完全に抑えられている。同時に王氏は、DH制についても私見を語った。
「DH制は作戦の妙味を壊すという言い分は分かるけど、得点力が上がるだけでなく、打たれまいと投手も努力する。結果、チーム力が向上するんだよ」
今回の日本シリーズは、SBの提案を巨人が飲み、全試合でDH制となったが、多くの解説者から「リーグ時からピッチング一本に専念できるSBの投手に、巨人の打者は力負けしている」との声が上がった。
冷静に巨人と自チームの力の差を分析した王氏だが、その表情は、どこか寂しげだったという。
「古巣が惨敗したわけですから、王さんの心中は複雑でしょう。“SBの王”になったとはいえ、巨人のOB会には必ず顔を出していますし、V9を達成した巨人選手としての矜持もあるでしょうし」(ベテラン記者)