■DH導入で球界はこう変わる

――その結果、パ・リーグのチームが8年連続で日本シリーズを制覇。なぜ、ここまで実力格差が生まれてしまったのでしょうか?

達川 やっぱり、「環境が人を育てる」という面はあるんじゃないかな。プロ野球の世界では、スピードとパワーと正確性が重要視されているんだけど、たとえば、スピードボールを投げるピッチャーに関していえば、パ・リーグのほうが断然多いよね。ここ数年だけ見ても、ダルビッシュ有田中将大大谷翔平と、みんな150キロを優に超えていたもん。今だって、千賀みたいなオバケがいるし(笑)。同じリーグに、そんなピッチャーが数多くいれば何度も対戦しているうちに、スピードには慣れてくる。高速道路で長時間運転しているときと一緒だよ。ただ、バッターも黙って見ているわけにはいかないから、なんとか打ち崩すために、徹底的にバットを振り、筋力トレーニングなどを続ける。それによって、パワーがアップし、スイングスピードも上がるから、スピードボールに対抗できるバッターに成長する。ソフトバンクの選手でも、柳田や中村晃のボールを遠くへ飛ばす力は本当にすごいでしょ。日本シリーズでホームランを2本打った甲斐だって、9番バッターで、あれほどのスイングができるんだから。これがまさに、「環境が人を育てる」ということなんだよね。

 それに対してセ・リーグには、そこまで速いピッチャーは少ない。だから、日本シリーズで対戦すると、バッターは圧倒されてしまうんだろうね。ただ、私の現役時代にも、すでに「ストレート打ちのパ・リーグ、変化球打ちのセ・リーグ」という言葉があってね。「セ・リーグのバッターは変化球に強いけど、速い球には弱い」って言われていたんだよ。

 86年の日本シリーズで、黄金時代の西武と対戦したときも、渡辺久信とか工藤公康とか郭泰源とか、みんな速かったもん。ストレートと分かっていても振り遅れるし、すぐに対応するのが難しかったなあ。

――実力格差を埋める方法の一つとして、「セ・リーグもDH制を導入すべき」という声も多いです。特に原監督は、19年の日本シリーズ敗退以降、公の場で提唱し続けていますよね?

達川 確かに、原監督の考えにも一理あるよ。ピッチャーは自分の打順は関係ないから、ピッチングに専念できるし、より長いイニングを投げられる。相手の打順も野手が9人並ぶことで、常に全力投球が求められる。野手で言えば、スタメンから、1人多く出場機会を与えて経験を積ませることができるのも利点だね。つまり、ピッチャーも野DH制導入を提言している原監督手も鍛えられるから、セ・リーグ全体の底上げになるということだよね。

 しかし、DH制にしたからといって、すぐにパ・リーグに追いつけるとは思わないけど、実力が拮抗すれば、日本シリーズや交流戦でも見応えのある試合が増えるのは間違いない。そうしたら、今まで以上にファンも喜んで、球場に足を運んでくれるようになるし、90年近く続いてきたプロ野球の発展にもつながっていくだろうね。

――プロ野球の未来まで語ってくれた達川氏。来シーズンも選手たちの熱い戦いを期待したい。

●たつかわ・みつお 1955年7月13日生まれ 広島県出身右投右打選手通算成績 1334試合 打率.246安打895 本塁打51 打358

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