■ストレスがたまらないんです
――今回の自粛生活で、自分と向き合うことができたという声をよく聞きますが、丘さんはどうでしたか?
丘 やっぱり、今まで走り続けてきたばっかりで、見えていなかったこととか、毎日歌える生活がこんなに幸せなことだったんだ、という日々の生活のありがたみをすごく実感できました。
――どんなことが見えていなかったんでしょう?
丘 スタッフの方が裏ではこんなふうに動いてくださっていたんだなとか、曲をテンポ上げてとか半音下げてとか、もうそんな生意気なことを言っちゃダメだなとか(笑)。そういうことは自分でも分かっていたつもりだったんだけど、自分が歌詞を覚えたり歌ったりすることに必死過ぎて、周りが見えなくなった部分もあった、ということですね。
――スタッフへの感謝の気持ちが改めて生じた、というわけですね。
丘 それと一切活動していないのにもかかわらず、ファンの方が毎日、SNSとかで宣伝や応援してくださったのを見て、これだけやって良かったなって思ってもらえるような結果を残さないとダメだなって改めて思いました。
――ファン思いですね。仕事ができなくて、ストレスがたまりませんでしたか?
丘 私、元々、ストレスがたまらないんです。たとえば、お仕事でスタッフと意見が食い違っても、思ったことはその日のうちに言って解決しようと決めていますし、イライラは絶対、寝るまでに終わらせています。私の母から“1番自分がなりたい自分を想像しながら寝たら、絶対なれるんやで”って言葉を小さい頃から植えつけられていたので、たとえば、次のステージではこんな衣装を着ようとか、こんなセットにしようとか、寝る前に考えているんです。
――アイデアがどんどん浮かぶんですね。自粛生活中もユニークなことをされていた、と聞きました。
丘 はい、マネージャーさんとメイクさんを自宅に招いて“割烹みどり”をやっていました(笑)。
――具体的にはどんなことをされたんですか?
丘 お品書きを筆で紙に書いて、ホウレンソウを使った前菜から始まり、焼き魚を出してお肉をちょっと焼いて。最後は茶碗蒸しとごはんとお味噌汁とお漬物。
――かなり本格的ですね。
丘 それと今回は、パエリヤとかトロトロになるまで煮込んだ牛角煮とか時間がかかるのでふだんは作れないものにも挑戦してみました。いろんなスパイスを調合したカレーも作りました。