乃木坂46「個人PVという実験場」
第15回 既存の表現を自身の表現とする方法論 3/5
■個人PVの幅を広げる
ここまで、テレビCMや街歩き番組など、既存の映像コンテンツを採り入れたタイプの個人PVをいくつかみてきた。こうした既存ジャンルをモチーフにした作品を考えるとき、乃木坂46の個人PVにおいて特に異彩を放つクリエイターを見出すことができる。それが、2015年の13枚目シングル『今、話したい誰かがいる』から乃木坂46の個人PVに携わる森翔太である。
個人PVというフィールドで森が創り出すのは、どこかで見たことのあるジャンルの映像をパロディ化し、彼特有の仕方で笑いを生む作品である。森が持つ一風変わった着眼点と視野のずらし方は、個人PVというショートフィルムの見本市に新鮮な彩りを添え、この企画の中でできることの幅をまた広げてみせる。
初めて個人PVの監督を務めた斉藤優里主演「愛の二等辺三角形」ですでに、その手腕はきわめて鮮やかに発揮されていた。
https://www.youtube.com/watch?v=_I2j8CEMlRQ
(※斉藤優里個人PV「愛の二等辺三角形」予告編)