■「個人的に第二部はすごいと思いました」

――それはすごい。絶対、日本一ですよ。日本一食べてますよ。そんな餃子専門家にお聞きしますが、今回の小説『焼餃子』はどうでしたか?

小野寺 第一部で主人公のグンゾーがアジアの餃子を食べ歩くというのは、「なるほどな」と思いました。餃子が好きだけど広めるためには知識がなければどうしようもない。いろんな餃子を求めて旅するのは当然です。

 でも、僕がすごい小説だと思ったのは第二部です。日本に餃子を持ち帰ったメンバーがどうやって焼餃子を広めていくのかというのがテーマ。大森で餃子屋を始めた二人が、店がなかなか流行らなくて悩んでいたことに面白みを感じました。これは現代でも同じです。やっぱり餃子界において、宇都宮と浜松はマーケティングがうまい。この2つが餃子タウンなのは全国民が知っている。ほかの県でも美味しいところはたくさんあるのに、なかなか広まらない。僕はそれを広める活動をしているので、小説にすごく共感しました。

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