■「愛する努力、愛される努力」

「連載2回目のエッセイも、読めば読むほど意味深なんです」(女性誌編集者)

 連載第2回目のタイトルは「猫」で、光が差してくる上のほうを見つめている猫の写真が掲載されている。そしてそこに添えられた文章では「猫が家に来たばかりの頃はボロボロで、目には色がなく翳りを帯び濁っていた。愛情を求めて彷徨う獣のようだった」とつづっている。

 そして「猫と私は互いに、愛する努力を、愛される努力をした。そうして初めて本当の意思疎通ができるのだと、あらためて知った」と続く。

「さまざまな解釈ができると思いますが、東出と出会ったばかりの自分自身を猫にたとえて、愛情を知らない自分はボロボロだったものの、東出と出会い、愛し愛されることで温かい感情を手に入れることができたという当時の心境をつづっているようにも思えます。また、“愛される努力”というのは不倫という障害がありながらも、それを乗り越えるほどの愛だったとも解釈できそうですよね。

 もしくは、不倫が報じられてバッシングを受けてボロボロだった自分を、家族や所属事務所の人たちが守ってくれて、ようやく再スタートを切ることができるまでに至った、という現状を表しているようにも感じられますよね」(前出の女性誌編集者)

 エッセイの最後は「今日も猫が猫のまま、美しく輝いている」という一文で結ばれている。

「この文章も“今後も輝きを失わずに自分らしくいたい”という決意にも思えます。受け取る側の解釈次第でどのようにもとれることは間違いありませんが、ただ、より“匂わせ”が濃厚に感じられることがあるんです。それは、そもそも“猫”を題材に選んでいるということなんですよね……」(前同)

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