昨年は開幕1Rをアウトウッズで勝利。結果として大きなケガもなく、一年を無事に乗り切ることができました。よぉし、今年も! 5走続けて2着というメイショウキリモンをパートナーに、その再現を狙った2021年の開幕1Rですが、結果は、またしても2着。馬にとっても僕にとっても、歯がゆいスタートになってしまいました。加えて、5度目の制覇を狙った京都金杯のシュリは出負けしたことが響いて、5着。52歳の今年、もう一度! という言葉を胸に臨んだ競馬でしたが、残念ながら満点スタートとはいきませんでした。
とはいえ、競馬初日のこの日は、2Rのジャスパーゴールド、4Rのスコルピウス、最終12Rのリレーションシップで勝ち、計3勝。1Rと金杯を勝っていれば、1日5勝。これを継続できれば土・日の2日間で10勝となり、年間50週だとすると、単純計算で500勝という数字に達します。もっとも、そこまで競馬は甘くありませんが、でも、気持ちとしては悪いはずがありません。
続く9日からの3日間競馬も、この勢いで――と、ひそかに意気込んでいました。ところが、です。どこに落とし穴があるのか、分からないのは人生も競馬も同じです。6日の調教で腰に違和感を感じ、そこから、さまざまなケアを尽くしましたが、痛みが取れず、医師の診断を仰いだ結果、急性の腰痛で、「3〜5日の安静が必要」とのこと。無理をして悪化させるよりは、ここで、しっかり治したほうがいいと判断し、3日間、競馬をキャンセルさせ結果として、出馬投票後のタイミングになってしまったことで、調教師の先生や馬主さん、応援してくれるファンの皆さんには、申し訳ない気持ちでいっぱいです。本当に、すみませんでした。
この借りは、きっちり今週末、お返ししたいと思っています。24日のメインレース、G2東海Sは、インティとタッグを組む予定です。前走G1チャンピオンズCで復活の兆しを見せてくれたインティにとっては、ここは負けられない戦い。春の最大の目標は19年に続くG1フェブラリーSの2度目の制覇ですが、ここで、どんな競馬ができるかが大きな鍵となります。
再びの緊急事態宣言で、競馬ファンには、また窮屈な思いをさせてしまっていますが、声援は僕ら騎手にも、馬にも、届いています。
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