■「淡々」なのか「棒読み」なのか

 慶喜には26歳の頃、攘夷論について前日の会談での発言を撤回したと知って激怒し、酒を5杯茶碗であおって馬に乗り、刀を持ったまま宮邸に乗り込み「命は頂戴する。私も覚悟の上」と迫った、というエピソードがある。これは創作ではなく、11年5月に高知県で当時の様子を記した手紙の写しが発見されている。

「東出も草なぎも、内面にそうした“素質”があることにくわえて、ルックスも塩顔。東出の場合は若くて未熟な、草なぎの場合は聡明さが強調された、どちらも味わいのある慶喜が見れると思います。もっとも、演技方面では草なぎに圧倒的に軍配が上がるかもしれませんね……」

 東出は『日本アカデミー賞』を13年の『桐島、部活やめるってよ』では新人俳優賞、17年の『聖の青春』では優秀助演男優賞をそれぞれ獲得。18年には『寝ても覚めても』ほか4本もの映画で『第10回TAMA映画賞 最優秀男優賞』を受賞したりと、演技について一定の評価はあるものの、厳しい意見もある。

「基本的に東出の演技や語りは、淡々としているんですよ。これまで『桐島~』のように、役柄が“なんでもソツなくこなせるせいで無気力気味の学生”のように、キャラに合っていることが多かったので、バレるのも少なかった。しかし、不倫騒動で好感度が急落した結果“淡々としてるんじゃなくて、ただの棒読みじゃないか”といった辛辣な声も目立っている。今回の『峠』で挽回できるといいですね。時代劇作品は多く出ていますから、コツも分かっているでしょう」

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