ハンク・アーロンと王貞治「2人のホームラン王」友情秘話の画像
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 1月22日、偉大な野球人が、この世を去った。メジャーリーグ歴代2位となる通算755本の本塁打を放ったスラッガー、ハンク・アーロン氏が、86歳の生涯を閉じたのだ。

「アーロンは、1974年に“野球の神様”ベーブ・ルースの持つ714本の本塁打記録を抜くなど、米球界で殿堂入りの大打者。新型コロナウイルスのワクチン接種後、半月ほどで亡くなりましたが、死因は不明です」(全国紙運動部記者)

 アーロン氏の記録は07年にバリー・ボンズに抜かれるまでの33年間、MLB歴代1位の座に君臨した。

「ボンズがメジャー記録を更新した際、アーロンはステロイドの使用疑惑があったボンズの式典には、出席しませんでした。一方、77年に王貞治が756本塁打を放つと、アーロンは“王さんに王冠をかぶせたい。彼は日本の誇りであり、さらに打ち続けるだろう”と祝福のビデオメッセージを流した。2人の間には深い信頼関係がありました」(スポーツ紙OB)

 2人の親交は、74年に行われた巨人対メッツの日米親善野球から始まった。

「試合前の本塁打競争で、アーロンは王に10対9で勝利。このとき、アーロンは王にスパイクとグローブをプレゼントしました。スパイクのサイズが合ってなく、グローブも左右が違ったりしましたが、王は偉大なスラッガーの心遣いに喜んだそうです」(前同)

 さらにアーロン氏は直後のインタビューで、「王は800本は打つだろう」と予言。その根拠として「王はタイミングの取り方が非常にうまい。体は小さいが、長距離打球のスピードが素晴らしい」と絶賛していた。実際、王氏が世界新記録となる756号ホームランを放った際、誰よりも喜んだのがアーロン氏だった。

「王がアーロンの記録を破ったとき、アメリカのマスコミは、MLBとNPBのレベル差などを揶揄しましたが、アーロン本人は心から王を祝福しています。王の一本足打法に敬意を表した、フラミンゴのはく製を贈っています。ホームランを打つ難しさを知る者同士だからこその、同志意識でしょう」(前同)

 2人のホームラン王の友情は、バットを置いた後も、生涯にわたって続いた。

「巨人の監督を辞めた後、王はアーロンとともに『世界少年野球大会』を提唱しました。この大会は試合だけではなく、野球教室も開かれ、世界中に野球を正しく普及するとともに、野球を通じて子どもたちに友情を深めてほしいとの思いから始まっています。コロナ禍で昨年は中止になったものの、90年から19年まで29年連続開催されています」(専門誌記者)

 王氏が「メジャーリーガーの鑑だった」という言葉で、その死を悼んだアーロン氏。世界のホームラン・キングに、合掌。

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