競馬学校3期生の仲間、同じ釜の飯を食べたエビちゃん(蛯名正義騎手)が、2月27、28日の競馬を最後に現役引退し、調教師として第2のキャリアを歩み始めます。

 エビちゃんとの思い出は、頭の中を整理するのがちょっと大変なくらいたくさんあって、その量は本が2~3冊書けるほどです。競馬学校では、眠い目をこすりながら、海外競馬への夢を語りあいました。連帯責任として、ともにゲンコツを食らったことも、たびたびあります。卒業後、エビちゃんは美浦、僕は栗東と主戦場は違いましたが、言葉は交わさずとも、お互い、気持ちは分かりあっていました。いいときも悪いときもです。

 僕にとっては、どれも大切な思い出ですが、特に印象に残っているのは、エビちゃんがナカヤマフェスタ(2着)で、僕はヴィクトワールピサ(7着)で挑んだ、2010年の凱旋門賞です。競馬学校同期の2人が、同じ年の凱旋門賞で騎乗する――まったく夢のような話です。競馬学校時代の僕とエビちゃんが、この話を聞いたとしたら……まったく信じなかったと思います。

 最後の直線、外からジワジワとしか伸びないヴィクトワールピサの鞍上から見たのは、英のダービー馬、ワークフォースと、ナカヤマフェスタの激しい叩き合いでした。そのとき「行けーッ、マサヨシ!!」と思わず叫んだことを思い出します。

 あれから12年。夢は夢のままで、日本人ジョッキー、日本馬ともに凱旋門賞制覇の夢を成しえていません。

 3月からエビちゃんは調教師の先生。僕は変わらず一人のジョッキー。心の中では、いつまでも同期のエビちゃんですが、トレセンや競馬場で会うときは、蛯名正義センセイです。蛯名センセイ、騎乗依頼を待っているので、ジョッキー武豊を、よろしくお願いします。そしていつか、それほど遠くない将来に、競馬学校の同期コンビで、大切な忘れ物“凱旋門賞制覇”という、でっかい勲章を取りに行きましょう。

 3月7日はマイラプソディで大阪城Sに挑みます。マイラプソディにとっては、復活を賭けたレースになります。僕がやるべきことは一つ。勝利を目指して頑張るだけです。

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