■「人間関係よりスクープを優先させる記者魂」

 新谷はよく「親しき仲にもスキャンダル」と言うんですけど、せっかく築き上げた人間関係を壊すことを恐れず、平気でスクープを書くんです。新聞記者は、書くことよりも、人間関係を優先させてしまうんですけど。新谷は書くためにつきあう。そのことがはっきりしている。書いたことで関係が壊れることももちろんあるけど、切れてしまった関係を繋ぎ直す力がある。相手としても、記事が事実であれば書かれてもしかたがないし、新谷との関係を維持した方が、逆に新谷から情報を取れるといったメリットがあるんだろうね。

 新谷には「アイツに頼まれたらしょうがない」と思わせる力がある。私も散々お世話になっているから、新谷に頼まれたら何でも引き受けちゃうよね。知り合いが多いとか、よく一緒に飯を食ってるとかじゃなくて、ギブ&テイクで関係をズブズブにしていく。相手を口説き落とせる力が、新谷の最大の能力かも。

 花田さんは、部数の落ちた本誌(月刊『文藝春秋』)を立て直せるのは新谷しかいない。新谷を本誌の編集長にするべきだとずっと言っていた。でも、『週刊文春』編集長を退いた新谷は、新設された週刊文春局長になった。雑誌編集者は雑誌を作りたいもの。本来なら『文藝春秋』の編集長をやる方が面白いに決まってる。でも彼は「自分がやりたいことよりも、自分にはやらなければならないことがある」と私に言った。自分が『週刊文春』を稼げるメディアにしなければ会社が潰れると思っている。今の彼はそれくらい、文藝春秋という会社全体を背負っているんです。

(取材・文 菊池俊輔)

PROFILE

やなぎさわ たけし

1960年東京都生まれ。ノンフィクションライター。慶應義塾大学法学部卒業後、空調機メーカーを経て文藝春秋に入社。花田紀凱編集長の『週刊文春』に在籍。新谷学とは同時期に『Number』で働いたことも。2003年に独立、2007年に『1976年のアントニオ猪木』で単行本デビュー。

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