ビートたけしが明かす「高倉健との漫才コンビ結成」秘話「追悼・田中邦衛伝説と『北の国から』ウラ話の画像
ビートたけし

 巨星堕つ――の一報がもたらされたのは、4月2日のことだった。

「俳優の田中邦衛さんが、3月24日に老衰のため、88歳で亡くなっていたことが分かりました。60年代に東宝の『若大将』シリーズのライバル役で注目され、東映の『網走番外地』『仁義なき戦い』などの人気シリーズで高い評価を得ました。コミカルにもシリアスにも演じられる、名優でした。12年6月、盟友の地井武男さんのお別れの会に出たのを最後に表舞台から姿を消していた。体力の衰えから車いす頼りとなり、晩年は施設に入っていたようです」(スポーツ紙デスク)

 その田中さんの代表作といえば、やはり倉本聰原作・脚本のドラマ『北の国から』シリーズ(フジテレビ系)だろう。北海道・富良野を舞台に、田中さん演じる黒板五郎と子2人の成長譚は、世代を超えて多くの人の心を震わせ続けた。

「息子役の吉岡秀隆は、田中さんの訃報に接し、“今は邦衛さんの笑顔しか思い浮かびません。自分の覚悟の小ささと、あなたの大きな優しさに涙しかありません”とコメントし、誰もが黒板親子の姿を思い起こしました。また、舞台となった富良野市が追悼コメントを出すなど、『北の国から』というドラマはフィクションを超えた存在になっていたと実感します」(地元紙記者)

 同ドラマで田中さんと共演したガッツ石松氏は本誌の取材に対し、撮影当時をこう振り返る。

「ロケは、富良野のプリンスホテルに役者たちは缶詰になっていました。私が怒りをあらわにするシーンがあって、リハーサルから“○○じゃねえか”と強い口調で演技したんです。でも、それを見ていた邦衛さんは“お前、口とんがらかせて、何、本気で怒ってんだよ”って笑うんですよ。そんな調子だから、私も笑っちゃうし、倉本さんも笑ってる。長時間のロケの中でも、邦衛さんはみんなの笑顔を作ってくれる人でしたね」

 また、人々の笑顔を生み出すために、名優と組んで、お笑いコンビに挑戦しようとしたこともあったという。

「映画『夜叉』で共演したビートたけしさんが田中さんについて“俺がラジオで『役者は漫才できないだろ。俺は漫才師でも役者できるぞ』って言ったら、(高倉)健さんが邦衛さんに電話して『漫才やろうか』って、2人で喫茶店で待ち合わせしたんだって。で、やってみようと思ったんだけど、お互い無口で、ずっと黙ってたんだって”と、幻の漫才コンビ結成秘話を語っていました」(前出のデスク)

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