■地に落ちても失われなかった“気品高さ”
田村さんが演じた田島雅之は、日本人相手の小さなバーの経営者でありながら、ビジネスの裏世界でも仕事を行う人物。女性から非常にモテて、作中でも複数の女性との関係が触れられている。
「『ニューヨーク恋物語』での田村さんは、行動の一つ一つがとてもキザなのですが、圧倒的なダンディぶりで見ているものを魅了するんです。田村さんの熟れた男のかっこよさが、これでもかと言うほど堪能できる素晴らしい作品です。濃厚なフェロモンが画面を通して匂ってくるほどですよ。
この作品の田村さんの凄さと言えば、なんと言っても8話以降の演技です。田島は裏稼業で騙されてしまい、岸本演じる茅野が1年ほどニューヨークを離れている間に、酒に依存し、仕事もせず、かつての恋人に金をたかるフラフラした生活を送ります。
そのときの田島の姿はヒゲも剃らずに服もボロボロ。しかし、心の奥底に男としてのプライドが残っていて、汚らしい姿をしながらも時折、気高さを見せます。その一瞬は、転落した生活の中で光り輝くダイヤモンドのようで、どのシーンよりも美しかった。こんな演技は田村さんではないとできないですよ」(前出の夕刊紙デスク)