バイきんぐ、演出ディレクターが語る「バイきんぐ単独ライブ」の裏側(1)「出会ったのは優勝した『キングオブコント』の時。小峠が泣いて僕も泣いて西村は笑ってました」の画像
バイきんぐ単独ライブ 「STRAIGHT」メインビジュアル

コンビ結成25周年を迎えたバイきんぐの単独ライブ『STRAIGHT』が、7月17日と18日に開催される。公演チケットは即日完売となったが、今回はバイきんぐ単独ライブ初となるウェブでの配信を敢行。そして、18日日曜日の公演ではVR生配信が行われる。かつてない臨場感で小峠英二のキレのあるフレーズと、西村瑞樹の底知れなさを体験できるこのライブのディレクションを務めたのが、ニュー・ジェネレーションの代表取締役・高木剛氏。彼らのサクセスを間近で目撃してきた高木氏が、徹夜で幕間VTRをつないだ後にこの取材に応じ、バイきんぐのコントの魅力とVR配信、そしてお笑いのこれからについて語ってくれた。(第1回/全3回)

―今回のVR配信、非常に興味深い試みですね。高木さんは、これまでもバイきんぐの単独ライブにかかわってきたんですか?

「2012年にバイきんぐが教習所のコントで『キングオブコント』に優勝したんです。『キングオブコント』は決勝まで行くと、担当ディレクターがつくんですよ。で、僕が担当ディレクターについたんです」(高木剛氏=以下同)

―それがキッカケですか?

「はい。決勝に上がってくるまではバイきんぐを知らなくて。ただ、ウワサは聞いてました。“こんなヤバい、いまブイブイ言わせてるのがくるぞ!”みたいな話は聞いていて。僕も準決勝を当時ライブハウスだった赤坂BLITZで見ていたんですけど、圧倒的に面白かったんです!」

―なるほど。

「担当ディレクターは本当は若手スタッフがやるんですけど、僕はいま47歳で、ディレクターとしては全然ロートルで(笑)。ただ、好きなんです。芸人さんのネタとかが。

 で、年功序列じゃないですけど“好きな芸人を選んでいい”って言われたから、即答でバイきんぐを選びました。もう絶対に優勝すると思ったんですよ」

―眼力がすごいですね。

「優勝するのは確信していましたが、実際にバイきんぐがキングオブコントで優勝するのを後ろで目の当たりにしていて。そこから小峠が義理堅い男で。なにせ、売れてなくて、ギリギリまで害虫駆除のアルバイトをしてましたからね(※小峠は『キングオブコント』当日もバイトしていた)。

 だから、たぶんテレビのディレクターという存在をそれまで知らなかったんですよ」

―高木さんと『キングオブコント』で出会うまで?

「おそらく。僕は小峠の初めてをブチ抜いてやった、みたいな(笑)。ディレクターとして初めての男になったんです。そしたら、忘れられない思い出になったのかな。アイツ、ゲン担ぎとかもするんで。センスとかより、そういう部分で縁起がいいから、僕と一緒にライブをやっているんじゃないかな」

―そんなことないんじゃないですかね(笑)。

「僕もここまでバイきんぐが売れるとは思ってなかったですけど、これだけ売れたらいろいろな名ディレクターさんと絡んでいると思うんですよ。でも、“単独ライブは高木さんで”って言ってもらえると嬉しいですよね。僕もその気持ちがあって裏切りたくないから、一生懸命やらせていただいてます」

―すごくドラマチックでいい話ですね!

「いいものを見せてもらったんですよ。分かりやすいバイト生活の売れない芸人がバカみたいに売れる姿を目の当たりにしてきたので。僕はテレビ番組がベースのディレクターですけど、そんなに何人も見れるものじゃないですよね。やっぱり、ある程度売れた人がテレビに出てくるわけじゃないですか。それが、まったくのベースゼロで、面白いってウワサだけの人間がメリメリ売れていくのを見ると、ちょっとカン違いしますね。“俺も売れてるのかな?”って(笑)」

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