■BPO案件&“無許諾”放送疑惑も……

 今年1月18日、BPO(放送倫理・番組向上機構)放送倫理検証委員会が同番組に対して、放送倫理違反があったと判断する意見を公表。

 BPOは「解答権のないエキストラを出場させていたことは、番組が標ぼうしている番組の『1人対99人』というコンセプトを信頼した多くの視聴者との約束を裏切るもの」と指摘した。

 また、「制作過程の重要な部分を制作者たちが十分に共有していなかった点において、その過程が適正に保たれていなかったと言うべきであるとして、本件番組には放送倫理違反があったと判断した」と見解を示した。

「BPOが明確に“放送倫理違反があった”と判断したというのは大きいですよね。ただ、『99人の壁』は番組の成り立ちの段階から、フジテレビ社内でも“大丈夫なのか……”と言われていましたからね」(前出の制作会社関係者)

『99人の壁』は1年に2回程度、フジテレビ内で行われる「企画プレゼン大会」から生まれた番組で、当時入社2年目だった若手社員が出した企画だったという。同企画はプレゼン大会で金メダルを獲得し、番組化することが決定した。しかし、

「オランダでオリジナル版が放送されている『1 vs. 100』というクイズ番組があるんです。これは1人のプレイヤーが100人の解答者と賞金をかけてクイズを行うというフォーマットで、『99人の壁』とそっくりなんです」(前同)

『1 vs. 100』では、解答者は6秒以内にクイズに答えなければならない。プレイヤーがクイズに正解すれば、解答者の不正解の人数に応じて賞金が加算され、不正解した解答者は脱落。プレイヤーが不正解の場合は、その時点で終了となる。

「『1 vs. 100』はオランダでオリジナル版が制作され、その後、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、台湾や香港などでも制作されるほどの人気番組となりました。フジテレビも本家のライセンス許諾を取得して放送しているのであれば問題はないのでしょうが、番組は“別物”だと考えているようです。

 そのため、ライセンス許諾などはないまま放送しており、“本家に訴訟されたら大事になるのではないか”という話が、局内でも語られていました」(同)

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