なぜ彼女たちは「センター」に立ったのか⁉
アイドルセンター論
乃木坂46大園桃子 後編
大園はまた「アイドル」と「本当の自分」との間を大きく揺れ動きながら、本当の自分でいるということをアイドルとしての魅力を発信してきた稀有な存在でもあったのだ。言い換えれば、「アイドル」と「本当の自分」に明確な境界を引かず、大園桃子というひとりの女性の延長線として等身大のアイドルであり続けた。それをいとも自然にやっていたのが彼女だった。
それは例えば大園がこれまで残してきた発言からも明らかだ。『BUBKA 2021年3月号』のインタビューにある「嘘は言えないです。なんででしょうね? いいふうに見られようと思ったことがないのかもしれない。それよりも、自分が思っていることのほうが先にでちゃう」という大園の発言からも、アイドルとしての大園よりも、素の自分でいることを大切にしていることが伺える。
映画『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』でも大園は「アイドルではなく素の自分を見せることしかできない」からこそ「(周囲からの言葉が)自分を否定しているように感じ、結果的にアイドルに向いていない」と、「アイドル」と「本当の自分」の間の葛藤と悩みを吐露していた。