■科学的に証明された視力回復法

 平松氏が注目したのは、物理学者のデニス・ガボール博士が考案した「ガボール・パッチ」だった。ちなみに、ガボール氏は立体的な映像を映す「ホログラフィ」の発明で、1971年にノーベル物理学賞を受賞した天才だ。

「このガボール・パッチは、“ガボール変換”という数学的な処理で生み出された、ぼやけた縞模様です。以前から、これを見ると脳の視覚野が刺激され、視力を補う力が高まるといわれていました」

 これが3ページ目に掲載した縞模様だ。ボヤッとした図形にしか見えないが……。

「私も最初は、こんな縞模様を見るだけで、本当に視覚野が刺激されて視力が上がるのか、疑問に思っていたんですよ(笑)」

 ところが、米カリフォルニア大学で被験者にガボール・パッチを見せる実験をしたところ、「視力を補う脳の力」が高まることが実証されたのである。

「2007年にも、米カンザス大学が近視と老眼の患者38人を対象にガボール・パッチの実験をしたところ、視力が向上しました。特に、老眼の患者は平均視力が0・3上がる好結果となったんです」

 その後、多くの研究者の実験によって、ガボール・パッチを見ることで、脳の働きが活発になることが明らかになった。2017年には『ニューヨーク・タイムズ』に取り上げられ、全米の話題になっている。

 平松氏は、こうした実験結果をもとに、自身で被験者を募って試したという。

「老眼の11人と近眼の43人に、ガボール・パッチを1日3分、見てもらいました。これを2週間続けてもらう簡単な実験が、思わぬ好成績を挙げたんです」

 老眼の11人中、9人の視力が改善し、平均値は0.32から0.42にアップ。また、近視の30人の視力も改善し、その平均値は0.27から0.51にアップしたという。

「手術以外で視力を改善させるといわれている方法は数多くあります。ですが、世界で唯一、科学的に証明された視力回復法は、このガボール・パッチによる“ガボール・アイ”だけです」

 平松氏はこうした実験結果を踏まえて、ガボール・アイのトレーニングを勧める本を2018年に出版。今年7月に、内容を、より充実させた第2弾『1日に3分楽しむだけで勝手に目がよくなる! ガボール・アイ』(SBクリエイティブ)を刊行した。

「この本でも紹介しましたが、老眼で悩む46歳の男性は、視力が0.3アップして1.0になりました。いくつかの縞模様を目で追うだけですので、なんの苦労もない。老眼鏡を買ったことを悔やんでいましたよ」

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