■震災の呪縛に苦しみ続けた亮

 百音は未知を引き止め、亮に「りょーちん、笑わなくていいよ」「大丈夫って言いながら、本当はなんて思ってたの?」と問いかける。すると、亮は「おまえに何が分かる」「そう思ってきたよ、ずっと。俺以外の全員に!」と、吐き出すように本音を明かした。

 すると、百音はまっすぐ亮を見つめ、「うん、私には分かんない。それでもね、一緒に生きていきたいって、りょーちんを絶対に1人にしなかった人がいる」「大丈夫なんて、突き放さないで」と、どんなときでも亮のそばには未知がいたことを訴える。

 この言葉に、亮は未知のおかげで頑張ってこられたことを認めつつ、震災で母を失った父の新次(浅野忠信/47)が立ち直れないように、自分も崩れてしまうかもしれないと言うと、百音から未知に視線を動かし「大事な人に、ツラい顔させんのはイヤだよ」と明かした。

 本音を受け止めた未知は亮に歩み寄り、「一緒にいたいってだけじゃダメなの?」と手を取る。亮が「俺、幸せになってもいいのかな?」とつぶやくと、未知はコクリとうなずき、2人を優しい朝の光が包んだ。

 母の死を受け入れらない父以上に、震災の呪縛に一番苦しんでいたのは亮だったのかもしれない。セリフ数が少なく、表情や演技の「間」で表現することが求められた本作で、亮の複雑に折り重なったような感情を表現したのは見事。第110話を“神回”にしたMVPと言えるだろう。

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