令和3年もあと1か月。飲食店の酒類提供や営業時間の制限も緩和され、今年は忘年会が増えそうだ。だが、「やけに酔いが回るな」と感じたら、注意が必要だ。肝臓専門医で、『栗原クリニック東京・日本橋』院長の栗原毅氏が言う。
「長らく飲酒を控えていた人は、後天的なアルコール分解酵素“MEOS”の働きが弱まり、お酒の耐性が落ちています。また、自粛太りで、肝臓に脂肪がつく脂肪肝が進むと、アルコールを分解する肝機能も衰えます。コロナ禍前より、お酒の許容量が3〜4割は減ったと考えましょう」
楽しい宴会も、翌日が潰れてしまったら台なし。そこで、二日酔い予防の“賢者の知恵”を探った。
まず、飲む前の注意から。空腹で飲むのはよくないと知っていても、握り飯を食べるのは胃が重い。ウコンなどの栄養ドリンクも買いそびれた。そんな人は、「必須アミノ酸が含まれるチーズや、タンパク質がとれる冷や奴やお刺身を食べましょう。肝機能が高まり、悪酔いを防げます。宴会前に食べなくても、1皿目のツマミに頼めば十分です」(栗原院長=以下同)
飲み方にもコツがある。
「1杯目のビールは、ジョッキではなく瓶を注文しましょう。飲酒量が目で見えるようになり、ペースが早まるのを防げます。また、甘い炭酸の酎ハイは避けてください。シロップが肝臓でのアルコール分解を妨げるので、悪酔いします」
おなじみの「とりあえず、生!」は間違いだという。また、飲むときは水分補給も重要だ。
「飲酒をしたら、同量の水を飲むことを勧めます。いわゆるチェイサーです。アルコールは脱水症状を引き起こしますが、それを緩和することで、二日酔いの症状も出にくくなります」
この冬は、“宴会の締め方”にも気をつけたい。
「コロナ禍が終わったわけではないので、2次会が開かれない例も多いことでしょう。時間があると、帰りにラーメン屋などへ寄りがちですが、〆のラーメンは脂肪肝が助長され、肝臓にダメージを与えるので厳禁。食欲を抑えるために、宴会の最後は、塩分のとれるみそ汁や、お吸い物を飲んで心を落ち着かせましょう」
最後に、帰宅後の過ごし方にも注意したい。
「飲酒をした夜は、シャワーでサッと汗を流すだけにしてください。熱い湯船につかったり、サウナに入ると、血流が促されて酔いが回るだけでなく、脳梗塞などを引き起こすリスクもあるので、大変危険です」
以上の“賢者の知恵”で楽しい忘年会シーズンを!