土屋伸之(撮影・弦巻勝)
土屋伸之(撮影・弦巻勝)

 塙(宣之)さんとコンビを組み、『ナイツ』を結成して、早20年がたちました。20年やってきても“ダメだな”と反省することは、しょっちゅうあります。でも、漫才って努力すればするほど、“報われた”っていう達成感が持てる瞬間もあって、やりがいがあるんです。

 ナイツの漫才で、僕の立ち位置は“ツッコミ”ですが、それは結成当初から変わっていません。僕はもともと、ちょっと引っ込み思案で、人と接するのがあまり得意じゃない。自分のしゃべりで人を笑わせるようなタイプじゃないし、ほんとは芸人には向いていないんじゃないかと思います。

 だからこそ、「面白い人のボケを引き立たせたい」という思いが根底にあります。僕としては、塙さんの面白いところを少しでも世間に知ってもらいたい。そのためだったら、何でもやるって覚悟で臨んでいます。

 デビューしてから、一番大きなターニングポイントは、寄席に入って、落語芸術協会に所属するようになったこと。2007年頃から舞台の数が一気に10倍ぐらいに増えたんです。このときを境に、自分でも漫才のテンポや腕が上がったっていう手応えはありましたね。それまでの努力が、やっと芽生え始めたっていう時期でした。

 僕は、舞台でウケる感覚がすごく好きなんですね。ウケるためには、とにかく「出続ける」ことが大事。お客さんに“この人たち、見たことがある”と思ってもらえることが、あるのとないのとでは、舞台でのウケ方がまったく違います。だから、テレビもラジオも、できるだけやるようにしているんです。

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