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目からウロコの「天気予報」活用ガイド

[週刊大衆09月08日号]

甚大なる被害を人類にもたらす異常気象。なす術もなく屈するだけかと思われるが、意外にも身近な所に防衛術があるのだ!

異常気象による甚大な被害があとを絶たない。

8月20日未明、広島市北部で1時間に120ミリもの猛烈な雨が降り、土石流が発生。39人が死亡し、43人が行方不明(21日現在)という大惨事をもたらした。

「気象レーダーの観測を見ると、この日、広島市では南西から北東に向かって、積乱雲がそびえるビルのように一列に並ぶ"バックビルディング現象"が発生していました。これが原因で稀にみる豪雨が発生したようです」(社会部記者)

行政の対応ミスもあった。避難勧告が出されたのは、集中豪雨からなんと2時間半後の午前4時半。実際、市の危機管理部長も「避難勧告を出すのが遅かった」とミスを認めた。

「雨雲が想定以上の速さで発達したことは確かです。しかし、天気予報をしっかりと熟知しておくことで、異常気象といえど、その被害を軽減できます」
ある気象予報士はこう語る。

集中豪雨や台風情報のみならず、「明日の天気」を知るために誰もが目にする天気予報。その的中率は年々上昇し、「現在の精度は約85%に達する」(前同)というのだが、一方で、我々一般市民は異常気象に対して"麻痺"しているようだ。
「各地で大雨や巨大台風が続いているせいか、"雨量100ミリ以下なら大丈夫""台風なんて問題ない"などと、ズレた意識ができてしまっているようです。しかし実際には、都市部の排水機能は1時間に50ミリ程度。それを上回ると水が溢れ、地下施設は水没する危険が高いんです」(同)

いつの間にか我々は、天気予報が示す本当の危険性を理解できなくなってしまっている。

そこで今回は、意外と知らない目からウロコの「天気予報」活用ガイドを徹底取材した。異常気象で死なないための基礎知識を、ぜひ身に付けてほしい。

まず、雨量に関してだが、「1時間の雨量が10~20ミリ未満と発表されても油断は禁物。この程度の雨でも降り続くことで、崖崩れなどの災害を引き起こします」(防災コンサルタント)

"1時間の雨量100ミリ"が頻繁に発生する現代とはいえ、10~20ミリを甘く見てはいけない。ましてや、30~50ミリとなれば、かなり危険な状態である。

「市街地では道路が川のようになり、山崩れ、崖崩れは、いつ発生してもおかしくありませんから、避難の準備が必要です」(前同)


雷雨を警告する「上空の寒気」

ほかに、「降水確率」も、多くの人が勘違いしているもののひとつだ。

「降水確率とは『1ミリ以上の雨』が降る確率であって、雨の強さや降水量、降雨時間の長さではありません。降水確率10%であれ、大雨や集中豪雨が起こることは十分にあります」(同)

そのため、集中豪雨の発生地帯を事前に見極めることも必要だ。

「天気図を見て注意すべきは『線上降水帯』です。これは、線状に積乱雲が次々と発生して雨が降りやすくなる状況で、昨年10月16日、伊豆大島で起きた大雨土砂災害もこれが原因でした。台風26号の影響もあって、1時間の雨量は122・5ミリ、24時間では824ミリという、悪魔のスコールラインを作り出したんです」(前出・気象予報士)

衛星画像を見れば一目瞭然。長い線状の雨雲がかかっていたら要注意。"やまない雨はない"と言えど、次々とやって来る雨雲が集中豪雨となり、予報以上の大災害を招いてしまうのだ。
また、天気予報を聞いていると予報は「晴れ」だが、「上空に寒気が入ってきます」というコメントが流れるときがある。これも危険である。

「上空に寒気が入ってくるということは、標高が高い場所や内陸部にあるゴルフ場などではかなりの確率で雷雨になるんです」(前同)

今月8日、愛知県の私立高校の野球部員が練習試合中に落雷を受けて死亡するという痛ましい事故が起きている。異常気象が多発する日本列島では落雷事故も決して珍しいことではない。

「なので、この予報が出た状況で黒い雲や風が出てきたら、30分以内に雷雨発生の可能性があるので、すぐに避難するべきです」(同)

猛暑日も、夏に忘れてはいけない危険気象だ。熱中症を恐れて気温ばかり気にする人も多いが、「日本気象協会は"熱中症情報"として、『暑さ指数』(WBGT)を設定しています。それは気温、湿度、そして人が浴びる日光量から換算されたもの。つまり、たとえ気温が低くても、日光量が強いがために熱中症になることもあるんです」(同)

"今日は猛暑日じゃないから、熱中症の心配はない"などという独断は愚の骨頂だ。

そんな中、今、最も脅威なのが「スーパー台風」だ。「スーパー台風とはアメリカが定義した台風。そもそも、日本とアメリカでは台風の定義が違うんです。日本では毎秒17・2メートル以上の最大風速を持つ風のことを台風と呼びますが、アメリカでは最大風速毎秒32・7メートル以上、66・4メートルまでの風を台風とし、毎秒66・8メートル以上のものをスーパー台風と位置づけています」(民間気象会社社員)


台風では東側地域が危険地帯

昨年10月、フィリピンで約1900人もの死者を出した台風30号は、毎秒65メートルの最大風速を記録した。

「突風のみならず津波のような高潮が海辺の人々を飲み込む大惨事となりましたが、これは他人事ではありません。実際、日本でも過去に同規模の台風が到来しています」(前同)

1959年に発生した「伊勢湾台風」(死者5000人あまり)や、61年の「第二室戸台風」も最大風速はスーパー台風級なのだ。

「地球の温暖化が進むと、スーパー台風の発生率が今以上に高くなり、日本にも次々と襲来するという研究予測もあります」(同)

そこでぜひ知ってもらいたいのが、天気予報から読み取る台風の脅威である。「台風の勢力図には黄色い円と赤い円があります。これは平均風速を表しており、黄色の円の範囲は15メートル以上の強風域で、赤い円の範囲は25メートル以上の暴風域を表しています」(同)

雨量同様に、平均風速も甘く見積もってはいけない。毎秒15メートル以上で、風で飛ばされた物で窓ガラスが割れ、鋼製シャッターも壊れる強さ。さらに同25メートル以上になると、樹木が根こそぎ倒れてブロック塀は壊れ、同30メートル以上では木造住宅の全壊が始まるとされる。

それだけではない。台風は自分の住む地域から離れていても、思わぬ被害をもたらすという。

「今年の台風11号が典型的なケース。四国から近畿地方を縦断したんですが、その際の8月10日、台風中心部から約500キロ離れた栃木県で竜巻が起こり、477棟に被害が発生。"レインバンド"と呼ばれる帯状に発達した積乱雲が原因です」(前出とは別の気象予報士)

台風が反時計回りに巨大な渦を巻く関係で、その東側の地域に突如、竜巻や暴風、集中豪雨が発生する確率が高いというのだ。

「これから秋になると、秋雨前線の影響で"長雨"も続きます。この夏の豪雨のせいで土壌水分量が高い地域も多い。そういう場所では土砂崩れなどが一段と起こりやすくなるので、天気予報には常に注意を払っていただきたい」(前同)

天気予報の一層の理解は命を救う一歩目なのだ。

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